2025年の夏ごろから音楽制作に本腰を入れて取り掛かり、11月17日にTokimaru Tanaka名義の初EP「Confluence」をリリースした。同時に自社レーベル「tokimaru records」を立ち上げ、楽曲制作から配信までを全て一人で行っている。
この一連の仕事で使用した機材とソフトウェアは以下の4つである。
・MacBookPro 14
・Novation Launchkey61 mk4
・Shure SE215
・Logic Pro
HHKBのキーボードを「楽器」と呼ぶ勢がいて、それは密かに面白く、それを楽器とするのならばHHKBも含めるべきだろう。確かにHHKBを楽器的に打つのは楽しいが、MacBookのキーボードだけでも音楽制作はできるので、今回は除いておく。
ヘッドフォンもスピーカーもオーディオインターフェースの類も使用していない。この機材ラインナップでも、楽曲制作をしている人から見れば随分ミニマルに映ると思うが、打ち込みとモニタリングをMacBookで行えば、MIDIとShureも不要になりMacBookとLogicだけというよりエクストリームなスタイルになる。作業の感触と速度は、全体のワークフローと品質にダイレクトに関わると考える。そういう意味では、上記の4つが快適に、かつストレスなく制作できる最低限のラインナップだと思っている。
10代から20代にかけてずっと音楽・バンド活動をしていて、最後のバンドは宮崎で活動していたスリーピースのMelanchoLyだった。ギター&ヴォーカル、作詞作曲も担当していて、2007年に5曲入りのミニアルバムを発表して、その後解散した。それから現在のエレクトロミュージックに移行した経緯については、SpotifyかApple Musicのプロフィールを参照してほしい。
およそ18年ぶりにEPを作ることができたのは、自分の中での「少ないものでより創る意欲」の盛り上がりと、機材とソフトウェアの進化のおかげだ。制作ワークフローの最適化にAIも用いており、LLMモデルの進化がなければ、今回の完全一人プロダクションは生まれなかったと思う。
今はプロダクションやレーベルに所属せずとも、一人で音楽を作り、世界に配信できる時代だ。古参のプロデューサーが作る音楽に比べればその技術も音も足元にも及ばないことはわかっている。だが、古い業界構造に入れないがために、自分が作りたい音楽があるのにそれを諦めてしまっている人や、音楽制作をしているけれど発信の仕方がわからない人。そのようなクリエイターに今回のプロジェクトが何かのヒントになれば、幸いである。
実際にレーベルの立ち上げから、楽曲制作、配信のプロセスを順を追って解説する。
今回のプロジェクトで行ったことは以下の通り。