クリエイター

  • クリエイターの居住地の選び方

    先週からフィリピンにいる。セブ島のモアルボアルという街から、セブシティ、そしてカオハガン島を巡ってきた。気温は27℃、時折りスコールのような雨が降っては止む、絵に描いたような南の島。花粉症がピタッと止んで、息がしやすい。やっほーみんな息してる?

    カオハガン島はセブ島から10キロの位置に浮かぶ、周囲2kmの小さな島。この島は90年代初頭に日本人が購入し、現在もオーナーが住んでいる。学校や宿を作り、島の自然を守りながら、元来の住民と共生している。もしこの方がオーナーになっていなければ、島は業者の手に渡り、もっと開発が進められ、住民は当然のように追い出されていた可能性もあっただろう。

    少ないもので、しかし豊かに、ゆとりを持って暮らしている人々からは学ぶことが多い。資本を拡大するにつれて、同時に欲望も膨れ上がる。いつまでたっても満たされることはない。消費と欲望にドライブされる資本主義からは、誰もが逃れられない世界になっている。それが環境に及ぼす影響は大きく、自然は破壊され、ますます地球の状態は悪化している。

    色々と考えさせられる旅の道中です。

    さて、本日の本題。

    「会社員を辞めると、住む場所に縛られなくなので、南の島や田舎、海外にも移住できる。」

    「サイドFIREしたなら、どこでも住めるからいいね。東京から地方に移住しないの?」

    などと、よく言われる。

    これは確かにそうなのだが、僕は逆だと思っていて、行くべき会社がないからこそ、住む場所の重要度が上がる、と考えている。だから、「どこでも好きなところに住める」というのは、ちょっと違う。

    考えてみて欲しい。会社に勤めていると、通勤が発生する。リモートワークの人でも週に1日でも出社する人は、家が職場から近い方が楽である。通勤すべき会社があるということは、自分の活動拠点が2拠点になるということだ。自宅と会社。会社の近くは熟知していて、美味しいランチやコーヒーの店を知っていて、街も人も少し馴染みがある、と感じている人は多いだろう。

    自宅周辺はなおさら馴染みの場所が多くなるし、住んでいる期間が長くなれば、それによる安心感も出てくる。1日8時間労働をしていると、自宅ではほとんど寝るだけになるかもしれないが、それでも毎日帰ってきて、土日は出かけたりするので、自分のフィールド(庭)的感覚が強まる。

    これが、ソロプレナーになり独立したり、経済的自立ができて退職したなら、自宅近辺が唯一のフィールドになる。それは1拠点。もし、その唯一の自分のフィールドが、好きなお店がなく、病院や役所などの社会インフラが乏しく、災害に弱く、雰囲気が悪かったらどうだろうか。独立して自宅を仕事場にする場合は、通勤がなくなるため、自宅の周辺で運動したりジムに通ったり食事をしたりすることになる。つまり、1日の大半を自宅周辺で過ごすことになるので、住む場所の重要度が上がるのだ。

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  • 公開思考の終焉:デジタル・バーンアウトから身を守る5つのレイヤー戦略

    現代のクリエイターにとって、自らの思考やプロセス、そして日常を公開することは、もはや不可避な労働のように扱われている。Xでのスレッド、Instagramのストーリーズ、そして日常を切り取るYouTubeでのVLOG。僕たちは「透明性こそが信頼を生む」と信じ、自分という人間をデジタル空間にさらけ出してきた。

    しかし、そのような過度な自己開示が精神に及ぼす影響については、慎重に検討する必要がある。発信をしていて「なんか疲れたな」ということは多くの人が感じることで、そこで気づいて止められる人は良いが、気づかないまま続ける人は、最終的に燃え尽きてしまう。いわゆる燃え尽き症候群的なもので、重度の場合は、鬱やメンタルの問題として現れてくる。

    ペンシルベニア大学の研究(Melissa G. Hunt et al., 2018)によれば、SNSの利用を制限することが、孤独感や抑うつを大幅に減少させることが示唆されている。また、社会学で言われる「Context Collapse(文脈の崩壊)」つまり、親しい友人に話すべきプライベートな思考と、不特定多数に向けた公的な発信が混ざり合うことで、僕たちは常に「見られている自分」を演じ続けるという、終わりのないパフォーマンスを強いられることになる。

    特に日常を映し出すVLOGなどは、その罠に陥りやすい。カメラが回っていない時間さえも「これはコンテンツになるか?」と脳が考え始め、心から安らげる私的な領域が浸食されていく。

    僕は近場でもカメラを忘れると、なんか損した気分になる。

    なんか損した気分なのは
    でも want you, hold you, get you
    Kiss you, miss you, need you
    僕のあんたへ

    はシャ乱Q「ズルい女」の歌詞で、この考察とは全く関係ないが、「なんか損した気分」と書いた後には、どうしてもこれが頭をよぎってしまう。

    それにしても、書いてみるとなかなかすごい歌詞だと思いながら、本線に戻すと、とにかく、常に「これはコンテンツになるか、ネタになるか?」と考えることは、フォトグラファーの時のほうが顕著だった。カメラを持っていないと何かを撮り逃しているような気持ちになった。それほどに写真にのめり込んでいたということかもしれないが、他を放っておいて写真に全ての重心を置く姿勢は、今考えればやや病的である。

    最近X(Twitter)での発信を始動させる中で、大きな転換期を迎えている。これまで運営してきたnoteやInstagramから拠点を完全に移そうと考えたのだが、そこには予想以上の摩擦があった。

    noteには未入金の売上が残り、Instagramでは、アカウントを整理しようとした矢先に新規クライアントとの重要なやり取りが始まってしまったのだ。デジタル上の拠点を消すことは技術的には容易だが、そこに蓄積された経済的・人間関係的な文脈を断ち切るには、大きな痛みが伴う。

    多くのクリエイターが「発信を整理したい」と願いながらも、その引力から逃れられずに疲弊していく理由が、ここにあるのだと改めて痛感した。

    noteとInstagramはもう、ビジネスツールと割り切って放置しようかと考えている。当然スマホにはアプリは入れておらず、僕の中では使用していないことになっているが、過去に書いたように、そのような亡霊アカウントは、脳のバックグラウンドでメモリをわずかに消費することと、ハッキングリスクという点で、ノイズとなる。

    そういう時に決まってとる戦略は「ゆっくりやる」ことで、つまり結論を急がない。時間が解決してくれることもある。

    これらのデジタル・バーンアウトへの回答として、辿り着いたのが、レイヤー(階層)」による戦略的撤退だ。

    全ての思考をリアルタイムで世に出す必要はない。むしろ、公の場で考えるのをやめ、私的な空間で徹底的に思考を磨き上げる。最近は、そのための閉じた壁打ち相手として、AI(ChatGPT, Gemini, ClaudeなどのLLMモデル)という手段も増えた。

    誰の目も気にせず、未完成で支離滅裂なアイデアをAIにぶつけ、対話を重ねる。そこで結晶化した純度の高い意思決定だけを、適切な場所に配置していく。このような、私的に考え、公に届けるという循環は、以下の5つのレイヤーに整理できる

    1. Layer 0 (出口):身体性とコミュニティ
    2. Layer 1(核):神話と資産
    3. Layer 2(収益):濃い繋がり
    4. Layer 3(配布と信頼):思考のフィルター
    5. Layer 4(ノイズ):排除すべき反応

    思考のプロセスは隔離し、外に出すときは「磨かれた資産」として出す。これにより、精神の安定を保ちながら、発信の価値を最大化できる。

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  • フェーズとビジネスモデル

    個人で事業を行う際に考えなければならないことは、そのビジネス内容(ビジネスモデル)と、フェーズである。フェーズはここでは段階と定義しよう。事業の内容自体が重要なのは言うまでもないが、成長には段階があり、その段階によって戦略も変わってくるのである。

    つまり、フェーズごとに適切な戦略をとることによって、より事業は成長し拡大する。間違った戦略を取ると、事業は伸び悩み、時には失速して、廃業に追い込まれる。Paul Grahamの「ハッカーと画家」にはこのような言葉が出てくる。

    スタートアップ企業が成功するかどうかは、最初の10人、もっと言えば最初の5人のメンバーの能力によって決まる。

    特にスタートアップにとっては初動が大切で、その後の拡大と、世のためになる良質なプロダクトを生み出していくには、最初の面子が肝心であるということだ。

    僕が実践しているソロプレナーという生き方は、個人でスタートアップを運営しているようなものである。事業を行ううえで、人員が一人か複数かには大きな溝があり、スタートアップの最小単位は二人という考え方もある。だが人員の拡大がなくても、事業の拡大を目指す上では、ソロプレナーのスタイルはスタートアップと近しい構造を持つ。(個人で開発したプロダクトやサービスを、価値を高めて売却することも個人で行うことができる。)

    最近はAIの台頭によって、個人開発者やソロプレナーがより生きやすい世界になってきた。今後もこの傾向は続くだろう。副業的に請負仕事をしている人も、個人開発をバリバリやっている人も、中長期の事業構想やロードマップは描いても、その過程をセグメントしたフェーズ戦略までは手が回らないという人も多い。

    細かなフェーズ戦略を練らなくても、スピードと勢いで攻められるのが個人事業の強みだが、時に間違った拡大や行動をとってしまうこともある。個人で行う発信や事業が伸びないのは、プロダクトやコンテンツのクオリティが低いからではなく、単純に自分がいるフェーズの把握とそれに沿った戦略を取れていないことが原因としてあるのではないか。僕も過去にこの罠に囚われていて、悩んだ時期があった。

    中長期のロードマップがあるなら、その後に行うことはシンプルで
    1、自分がいるフェーズの把握
    2、それにそった戦略の遂行

    のみである。

    僕の具体例にそって考えてみる。個人開発や、発信、事業を行っている人は、自分ごととして実際に同じようにワークしてもらえると、今回の趣旨をつかみやすいと思う。

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  • ミニマリストにおすすめの副業5選

    今回は動画でテーマとして取り上げた、おすすめの副業を5つ深掘りします。(YouTubeは今週末公開予定です。)

    何か副業を始めようと思った時、自分は「何も持っていない」と感じることがあるかもしれない。お金もない、機材もない、スキルも自信もない。だけど、だからこそ、ミニマリスト的な発想が生きてきます。

    何も持っていない、と言うとネガティブに聞こえるかもしれませんが、まず持たないということは仕事においてどのようなことが言えるかを考えてみます。

    ・道具や機材が無い = 身軽に始められる、道具や機材の習得・熟練が不要

    ・お金がない = 初期投資不要、低ランニングコスト

    ・知識が無い = 初心者でもできる

    ・時間が無い = 労働集約型ではなく知識集約型、レバレッジが効く

    ・人脈が無い = 誰も雇わない、個人完結の仕事

    このように、あらゆる「無い」は、仕事においてはメリットに転換できます。ミニマリストでもできる、というのはここではそういう意味です。むしろ持たないことで、収益を加速し最大化できる仕事があります。

    今回は「ミニマリスト」と便宜的に課題設定をしていますが、ミニマリストであるか否かに関係なく、副業としておすすめの仕事を、これまでの実経験を元に書いてみます。

    1、撮影

    まずは、撮影の仕事です。自分の経歴の中でも最も長く行なっている仕事で、現在も収益源のひとつです。

    一言に撮影といっても、ジャンルや業界、分野を考慮すると結構な数の撮影仕事があります。特に日本は独自の写真文化を発展させてきた国であり、街中の写真館(営業写真)的な撮影から、報道、広告、記録と、その幅は広いです。

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  • MacBookひとつで生きるという究極のミニマリズム

    MacBookひとつで生きるという究極のミニマリズム

    MacBookが一台あれば、他にはもう何もいらない。そう思うようになったのは、ずいぶん前のことだ。

    ミニマリストにとって、iPhoneが重要なアイテムであることに異論を唱える人はまずいないだろう。実際、iPhoneはそれ自体がミニマリズムの体現であり、一台であらゆることを済ませることができる。しかし、多用途性という観点で考えれば、MacBookはさらに広い世界を見せてくれるのではないだろうか。

    僕が初めて買ったコンピューターはWindows 95が登場した頃の富士通の巨大なデスクトップだった。その頃のパソコンといえば、重くて場所をとるデスクトップが主流で、ノート型は性能が劣る割に値段が高い、ちょっとした贅沢品のような存在だった。実際、当時のラップトップは今とは比べ物にならないほど大きくて重かったから、持ち運びのメリットなどほとんどなかったのだ。

    そんなイメージを一新したのが、ソニーのVAIOシリーズだった。薄くてスタイリッシュなデザインは、ノートパソコンの可能性を一気に広げ、小型化と軽量化の時代を切り開いた。

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  • トランプの関税強化と日本経済への影響 – 不確実性の時代へ向けて

    先日のトランプ大統領の関税強化発言により、国内外の市場が大きく揺れました。株価は急落し、為替は円高方向に大きく振れています。4日に公表されたJPモルガンのレポートでは「発表された政策が完全に実施されればマクロ経済への大きな衝撃になるとみられ、その場合は米経済、引いては世界経済が今年中に景気後退に陥る可能性が高い」と書かれています。

    このような外的ショックは、単なる一時的なニュースではありません。市場の構造、日本企業の体力、家計の行動に波及し、結果的に日本全体の景気動向に深く影響します。この記事では、関税強化による株安・円高の背景を解説し、今後のシナリオを予測しつつ、訪れる不確実性の時代において個人やクリエイターがどのように振る舞えるのか考察します。(私はその道の専門家ではなく、ただのTokimaru Tanakaであることを一応記しておきます)

    年初に脱稿したnote記事「エクストリームミニマリズムでFIREをデザインする」では、ミニマリズムを用いた資産設計の戦略について詳しく紹介しています。今回のような経済ショック時には、ミニマリズム的な思考がより有効になります。気になる方はぜひ併せて読んでみてください。

    今朝のNY Timesの記事から読み解ける今後のシナリオとしては、世界経済のブロック化が進行するということです。

    ・米国 vs 世界の構図が強まる。関税強化は日本を含むほぼすべての国に向けて発動。

    ・各国が報復関税で応酬 → グローバルサプライチェーンが混乱

    ・物価上昇(インフレ再燃)と景気悪化(スタグフレーション)リスク

    ・投資家心理悪化 → 株安、円高傾向のトレンド継続

    ・米国大手IT企業への市場アクセス制限の可能性も欧州側から出始めている

    なぜ株安・円高になるのか?その背景を読み解く

    関税が強化されると、モノの流れが停滞し、貿易量が減少します。これはグローバルな経済連携を前提とした現代のサプライチェーンにとって致命的なダメージを与えます。

    特に日本は自動車・機械・電子部品といった輸出型の産業に強く依存しており、関税が上がると日本企業の価格競争力が落ち、業績が悪化しやすくなります。その懸念から、海外投資家が日本株を売る→株価が下がる、という流れになります。

    また、株式市場が荒れ、ボラティリティが高まると、リスク回避の動きが強まり、世界の投資家がより安全資産と見なされる円を買う傾向にあります。これがリスクオフの円高です。円が高くなると、ドル建ての収益が目減りするため、輸出企業にはさらに逆風となり、悪循環に拍車をかけます。

    このような構造的背景が、短期間での株安・円高という振れ幅の大きな変動を生んでいます。

    景気への影響:企業から家計へ広がる負の連鎖

    市場の混乱は、投資家だけでなく私たちの日常生活にも影響します。輸出企業の業績悪化は、ボーナスカットや採用抑制、非正規雇用の削減などに直結しやすく、結果として家計の消費マインドが低下。さらに消費が冷え込むことで、国内需要も落ち込み、景気全体の悪化へとつながっていきます。

    特に日本の場合、労働市場の柔軟性が高くないため、一度景気が冷え込むと企業も個人も回復に時間がかかるのが特徴です。

    こうした流れのなかで、私たちはどのように備えるべきか。

    景気に左右されにくい働き方とは?

    今後、企業の広告予算や外注費が削られていく中で、安定しやすい仕事には一定の共通点があります。

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