ソロプレナー

  • フェーズとビジネスモデル

    個人で事業を行う際に考えなければならないことは、そのビジネス内容(ビジネスモデル)と、フェーズである。フェーズはここでは段階と定義しよう。事業の内容自体が重要なのは言うまでもないが、成長には段階があり、その段階によって戦略も変わってくるのである。

    つまり、フェーズごとに適切な戦略をとることによって、より事業は成長し拡大する。間違った戦略を取ると、事業は伸び悩み、時には失速して、廃業に追い込まれる。Paul Grahamの「ハッカーと画家」にはこのような言葉が出てくる。

    スタートアップ企業が成功するかどうかは、最初の10人、もっと言えば最初の5人のメンバーの能力によって決まる。

    特にスタートアップにとっては初動が大切で、その後の拡大と、世のためになる良質なプロダクトを生み出していくには、最初の面子が肝心であるということだ。

    僕が実践しているソロプレナーという生き方は、個人でスタートアップを運営しているようなものである。事業を行ううえで、人員が一人か複数かには大きな溝があり、スタートアップの最小単位は二人という考え方もある。だが人員の拡大がなくても、事業の拡大を目指す上では、ソロプレナーのスタイルはスタートアップと近しい構造を持つ。(個人で開発したプロダクトやサービスを、価値を高めて売却することも個人で行うことができる。)

    最近はAIの台頭によって、個人開発者やソロプレナーがより生きやすい世界になってきた。今後もこの傾向は続くだろう。副業的に請負仕事をしている人も、個人開発をバリバリやっている人も、中長期の事業構想やロードマップは描いても、その過程をセグメントしたフェーズ戦略までは手が回らないという人も多い。

    細かなフェーズ戦略を練らなくても、スピードと勢いで攻められるのが個人事業の強みだが、時に間違った拡大や行動をとってしまうこともある。個人で行う発信や事業が伸びないのは、プロダクトやコンテンツのクオリティが低いからではなく、単純に自分がいるフェーズの把握とそれに沿った戦略を取れていないことが原因としてあるのではないか。僕も過去にこの罠に囚われていて、悩んだ時期があった。

    中長期のロードマップがあるなら、その後に行うことはシンプルで
    1、自分がいるフェーズの把握
    2、それにそった戦略の遂行

    のみである。

    僕の具体例にそって考えてみる。個人開発や、発信、事業を行っている人は、自分ごととして実際に同じようにワークしてもらえると、今回の趣旨をつかみやすいと思う。

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  • スケーリングとミニマリズムのジレンマ

    ミニマリスト思考の人が、何か事業を始めようとする時、いつも問題になるのはスケーリング(事業拡大)とミニマリズムのジレンマである。

    事業の拡大と合わせて、禅やミニマリズムの思想をビジネス戦略に落とし込み、プロダクトに反映させたスティーブ・ジョブズのように誰もがなれるわけではない。故に、ミニマリズムの発信を軸にビジネスを展開しようとする人は、お片付けサービスやコンサルといった小さな事業に収まりがちである。そしてそのような事業は労働集約型であるために、結局は時間の切り売りになり、いつまでたっても収入は横ばいで、一向にスケールすることはない。

    ミニマリズムを用いて会社を辞めたのに、結局会社勤めと同じくらい労働をしていて、これでは普通に会社員をやっていたほうがよかったのではないかと、悩むことになるのである。

    気持ちは十分にわかる。そもそも、モノを持っていない。コストもかけたくない。一人が好き。人と関わるのがさほど好きではない、根暗かもしれない。ミニマリズムはそのようなものと実際に親和性が高い。

    だが事業をスケールさせるには、結局は、人材、資本力、知識/労働集約型のバイブリッド、協力会社の結託や資金調達が必要になる。一人でできる範囲のビジネスで、事業を拡大していくことには限界がある。誰もがその壁に当たる。

    だが、本当にスケーリング(事業拡大)とミニマリズム(持たないこと)は相反するものだろうか?ミニマリズムを用いながら、事業をスケールすることはできないのだろうか?スティーブはガレージでAppleを創業して、現在では時価総額100兆円近い規模の会社にした。これはスケーリングの極みである。Appleにはなれないとしても毎月100万円くらいの収入であれば一人でも作ることができる。それにはガレージも、発明も、ウォズニアックのような天才も必要ない。

    月商100万円は年商1200万円である。このような規模はもはや事業とは呼べず、スモールビジネスのレベルである。だが同じモデルをそのまま10倍にスケールさせれば、理論的には1.2億円に到達できる。年商1.2億円という数字は、日本の中小企業の上位20%にあたり、数的には71万社ある(総務省・経済センサス,2021)

    これを会社という組織ではなく、一人でつくる。そして利益率95%以上だとしたら、純利益もほぼ年商に近い数字となる。そのような過程の中で、常に立ちはだかるのが、スケーリングとミニマリズムのジレンマなのである。

    もっと具体性のあるレベルで考えてみよう。

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