maison de soil

  • ワードローブ考察2026

    ひとつの穴から、話は始まる。

    山と道の 5-Pocket Pants。スマートフォンを入れるポケットの底が、破れ始めている。三、四本と履き継いできた自分にとっての定番で、まるで皮膚のようになっている。軽くて、乾いて、歩けて、走れて、旅にも行ける。生活を最適化するために選んだ、文句のない一本だった。けれど、その小さな破れを縫うべきか買い替えるべきか考えているうちに、ずっと大きな問いが立ち上がってきた。

    自分は、何者として街に立っているのだろう。

    クローゼットを開けるといつも黒一色。何がなんでも黒すぎる。山と道、HERENESS、Arc’teryx、Altra、Luna Sandals。すべてが機能・身体性・ミニマリズムの服で、素材は化繊、シルエットはスポーティー、足元はトレランかサンダル。最近は山より、街にいる時間が多くなっている。黒いキャップをかぶると、いよいよ不審者じみてくる。

    問題は黒ではなかった。黒・化繊・スポーティー・スニーカー・キャップ、その全部が同じ方向に振り切れていたことだった。だから今回考えたのは、高機能でギア的な服を、山・雨・ランニングという本来の役割へ戻すこと。そのうえで、街で過ごす制服を、思想を持って組み直す。このJournalはその途中経過な記録だ。

    これまでの服が「機能・身体性・ミニマリズム」なら、今回入ってきたのは「街・現場・生活・余白・育成」。具体的なブランド名を出すなら、Engineered Garments、COMOLI、Maison Margiela、FilMelange、ENDS and MEANS。進化というよりは、積極的退化。ちょっと前の(2020年以前)自分に戻ったようなラインナップだ。

    一着ずつ、なぜそれを選んだのかを書いていく。

    maison de soil homme ─ 最初に開いた生活着の扉

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