• Core を Substack へ引っ越します/PHPの夜のこと

    10月21日の夜、10時少し前に、高市首相がXに投稿した。書き出しは「今夜に対応して頂きたい大至急のお願い」。PHPというプログラミング言語に「緊急」レベルの脆弱性が2件見つかり、修正版が23時ごろに出るので、すぐ当てられるよう準備してほしい。当てられないならサイトを一時止めるのも有効だ、という内容だった。総理大臣が特定のソフトウェアの修正をこんなふうに呼びかけるのは、少なくとも僕の記憶にはない。

    PHPと聞いてもぴんとこない人のほうが多いと思う。世界のウェブサイトのおよそ7割ほどがPHPで動いていると言われ、僕がメインで使用するWordPressもその上に乗っている。その晩から翌日にかけて、pixiv、ニコニコ、BASE、さくらインターネットといった国内のサービスが、一部または全部を止めて緊急メンテナンスに入った。財務省も関連するページを一時止め、首相自身も翌日には自分のホームページを閉じていた。

    Core では複合的に様々なツールを使用しているが、基本の土台は WordPress で動いている。サーバーを借りている会社がすぐに対策してくれたので、今回は何も起きていない。ただ、その夜ずっと考えていたのは、次も同じように済むだろうか、ということだった。

    それから、骨折した足で歩いて考えた(日々歩く距離を伸ばしていて、昨日は6800歩までいけた)。そこで出た答えは、11月から、Core を Substack でお届けすることだった。つまり、無料版のLettersを配信しているSubstackを、Coreの配信&コミュニティのプラットフォームとして使うということ。

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  • 物の捨て方・手放し方

    今週のJournalは、core survey(メンバーアンケート)に寄せられたお題から。

    物の捨て方・手放し方についてはこれまでもYouTubeで多くを語ってきたが、現時点でのまとめをしてみたい。

    ちょうど今週の日曜から、瞑想会をする。そのための文献を当たっていたところ、スワミ・シヴァナンダの『瞑想をきわめる』の中にこんな一節を見つけた。

    瞑想者のほとんどは、練習を始めてから数週間のうちに、引き出しや戸棚の中身を整理します。長い間手をつけていなかった仕事も楽しく片付けることができます。山積みになっていた書類がすっかり片付くでしょう。

    第六章の、瞑想の転換パワーというパートで、瞑想の効果について語られている。

    これを読んで、僕がこれまで物を捨て、手放すことができたのは、瞑想していたからなのかと、スッと腑に落ちた。ヨガを始めた時期は、実はミニマリズムに出会った頃と重なっている。

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  • 物を減らしたあとの時間の使い方

    モノを減らした後には、空間と時間ができる。

    自由になった感覚を得られるが、暇になり退屈になり、せっかく空いた場所を他の物で埋めようとする。これは物だけに限らない。

    ミニマリストはなんでも、ひとつの物を多用途に使おうとする。その代表はスマホだ。

    僕も一時期、スマホにすべてを集約したことがあった。カメラも手放し、スマホ1台でのプロダクションを試みてきた。スマホは確かに何でもできる。撮って、書いて、編集して、発信して、連絡して、音楽聴いて、本を読んで、時計にして、決済をして。1台に集約できるのは便利だが、なんだか疲れる、なんだか集中できない。落としたり、失くしたりした時に詰む。

    同じ画面でなんでもできるからこそ、本を読んでる間に、SNSを開きたくなるし、通知は飛んでくる。スマホが高機能になればなるほどに、僕たちのアテンションは奪われていく。来月発売されるiPhone duoは、Kindle的な広さと、ペンシルによるタブレット的形式をも備えるため、「携帯+小型タブレット+読書端末」という統合が可能になる。スマホ・iPad・Kindleをひとつに統合できるデバイスで、持ち物を減らせるという点では、ミニマリズムだ。

    しかしこの大画面でSNS、メッセージ、動画をマルチタスクで延々見るようになったら、Duoはミニマリズムではなく究極のドーパミン端末になってしまう。おそらく、折り畳めない端末よりも依存度は強力そうだ。

    機能をひとつに集約できれば、持ち物を減らせる。現代のミニマリストは、スマートフォンの発明がなければ、この世に存在していないだろう。じつに有り難きことだ。

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  • 発信の永続性はドメインに宿る

    今週ついに、Substackの有料購読を終了した。

    これを機に、発信をミニマルにすることと収益の関係性、発信の全体構造、そして今後の計画について少し考えてみたい。

    まずSubstackの有料版を終了したのは、その中で配信していたPodcastを、僕が独自で構築しているCoreという本拠地に統合したためだ。CoreにPodcastを統合することは、実は今年の4月ごろに行っていたのだが、有料購読者が結構いたので、移行期間をきちんと取るために意図的に先延ばしにしていた。

    結果的に、僕の発信はものすごくシンプルになった。

    Tokimaru Tanakaの有料購読はCoreのみ。というかたちをようやく作ることができたのだ。

    なので、今後ますますCoreは強くなるし、みんなでこの未来型メンタルコミュニティ(呼び名決まってない)を育てていきたいので、気になっていた方はぜひこのタイミングでの参加をお待ちしています。

    未来型と言ったのは、このCoreがまだ自分でもはっきりと定義できていないためだ。そして定義できないことこそが、Coreの価値だと思っている。それは常に成長途中で、生成変化し続けるもの。

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  • Signal完全入門

    メッセージングアプリをLINEからSignalに乗り換えて、一週間ほど経とうとしているので、今日はその使い方を移行方法をまとめてみる。またSignal自体についての深掘りも行う。

    LINEをやめようと思った理由は単純で、アプリUXが最悪だから。アプリを開いて立ち上がる一番左のタブであるHomeには、Service、Friend Lists、Newsが並ぶ。熊が出てきて「tap to see your friend list in chats.」と意味のないものまで表示されている。言葉を選ばず言えば、Xのタイムラインよりも、見た目は汚い。その右隣にChatsタブがあるが、一番上には広告。さらにトップにはChatsとFriendsというタブが二つあり、その隣に4つのアイコンが並ぶ。VoomタブはまるでTikTokでいきなり音付きの動画が流れてくる。ハローキティーのステッカーがもらえるキャンペーン。当然フォローしていない人の投稿が流れる。Newsタブは非表示にしていて代わりにCallsタブにしている。ここには過去の電話履歴が並ぶ。一番右のAppsは、もう言葉で説明できないほど要素が多い。

    現在のLINEのUXは、行動を阻害する。テキストのやりとりを行う度に、意識が他の刺激にもっていかれ、脳のメモリを消費する。LINEでのやりとりが多くなればなるほど、一日が終わった時には、どっと疲れている気がする。

    メッセージツールに求めるのは、テキストメッセージと通話だけ。元々はシンプルなアプリだったものが、LINEヤフー株式会社になり、より一層広告による収益化モデルが強化された。ヤフーは広告で収益を上げている会社なのだ。それがあまりにも、今のLINEに滲み出すぎている。広告でしか収益を上げられず最悪のUXになったwebマガジンを、今誰も観なくなったように、このままLINEを使う人も減るだろう。

    少し先の話をすると、ゆくゆくは多くのメッセージアプリは消える。(メッセージアプリ以外も例外なく)AIが進歩し、スマホがAIのためのエッジノードになる頃には、アプリケーションは意味をなさない。生のプログラムとプロトコルだけが走る。おそらく、個人を直接固有のものとして認識するシステムが働き、その固有識別番号のようなものに対して直接コミュニケーションを行える世界が来るだろう。そこで残るのは、テキストと音声(画像)通話だ。

    しかし、今はまだ難しい。世の中に浸透し、あまりにインフラになっており誰も離脱できないので、僕が先陣を切ってこのゲームから降りようと思う。組織から降り、社会からも半分降りて都市で隠遁生活を送っているので、降りることに関しては少し得意なのだ。

    この試みが失敗してもいい。宇宙に取り残された孤独な人工衛星のようになるかもしれない。今は、結構そんな気分を感じている。だがこの何ものにも代え難い平穏と静寂には大きな価値があるとも思っている。結論を言えば、Signalは素晴らしく、快適だ。

    なぜSignalなのか

    移行に際して、最初にこのように比較してみた。

    iMessage: 快適だがApple限定。相手がAndroidだと暗号化も体験も別物のSMS/RCSに落ちるので、汎用の連絡インフラとしては欠陥がある。却下。

    WhatsApp: 暗号化自体はSignalプロトコルで堅牢だが、運営がMetaで、2025年からステータス欄に広告が導入され始めている。「広告のないアプリに逃げたら数年後また広告が来た」というLINEと同じ轍を踏むリスクが構造的に高い。却下。

    Signal: 非営利団体運営で広告を入れるビジネスモデルが存在しない。全メッセージ・通話がデフォルトでE2E暗号化、オープンソース、収集するメタデータも最小限。電話番号だけで始められ、iPhone/Android両対応。自分の要件(広告なし・純粋なメッセージと通話・高セキュリティ)に対する専用設計品となる。

    また、Signalは災害時にも使えるツールとなると思っている。混雑や繋がりにくさは通信インフラのダメージにもよるので、ユーザーの少ないSignalのほうが繋がりやすいとは一概に言えない。だがLINEという一つの巨大なサービスに通信手段を依存しないという意味で、バックアップの手段にもなり得る。

    「広告が入らないこと」が構造的に保証されているのはSignalだけ、というのが決定打となった。

    Signalについてもう少し詳しく掘ってみる。

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  • 持ち物リストの作り方 – 68個で暮らす

    7月は何も買わなかった。6月までは結構買った。引越しをして、家具を新調し、音楽機材など大きめの買い物が続いた。そして少し気分を変えようと、久々に服も買った。

    これらのものを全て把握できているのは、持ち物リストをいまだに更新し続けているからだ。表向きのものはウェブサイトに掲載して誰でも見られるようになっている。オリジナルのデータには、購入日や、価格などもっと細かな情報を記載してあり、変更はすぐに反映するようにしている。

    今回は、持ち物リストをつくることの意味とその効果、そして作り方を書いていく。僕が使用している実際のシートも共有する。Core会員特典としてしばらく外部ストレージに置いておくので、コピーしつつ、自分のリストを作ってみてほしい。

    物を数えるというのは、一見ばかげた行為だ。大人が真顔でやることではないのかもしれない。ただ、始めてみると思いのほか楽しかった。そして楽しいだけでなく、生活が目に見えて変わった。無駄な買い物をしなくなり、道具選びは慎重になり、ひとつの物を長く大事に使うようになった。

    現在の僕の持ち物は68個。この数字を維持しようと頑張っているわけではなく、リストがあると自然にこのあたりに落ち着く、という感覚に近い。

    シートにすべての持ち物の数が出ていると、物は増えにくい。ひとつ手に入れたらひとつ手放す、という判断が、目の前の画面上でできるようになる。買った物の失敗やサイズを記録しておくと、買い物そのものがうまくなる。購入年月がわかるから、買い替えの時期も見えてくる。重さを記録しておけば、ハイキングや旅のパッキングが一気に楽になる。

    ものが多い状態でリストを作ろうとすると、当然失敗する。全てを出して数えるというのは、途方もなく、大変な行為なのだ。

    アメリカの平均的な家庭には30万個の物がある、という数字がある。(2014年のLAタイムズ)正直、根拠のあやしい数字だが、仮に一桁盛られていたとしても3万個だ。数える気が失せるのに十分な量だと思う。

    だから、数えるのは後でいい。先に減らす。個人的な感覚としては、全部で200個を下回ったあたりで、初めて数える勇気が湧いてくる。100個以下になれば、数えるのはもう作業ですらない。夕方に始めて、寝る前には終わる。ここがリスト化のタイミングだ。

    まだそこまで遠い場合は、何の持ち物が多いのかを見極めて、パートごとに分けて取り組むのがいいと思う。仕事道具、衣類、キッチン、という具合に。衣類だけのリスト、机の上だけのリストをつくり、部分的に何があるか可視化してみる。それでも十分に機能する。リストが完成しなくても構わない。数えようとして、多すぎることに気づいて、減らして、また数える。その行ったり来たりの過程こそが、身軽になる実践となる。

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  • 時間の安売りをやめる

    人は、自分の時間を安く見積もるほど、その時間を、安い用事や仕事で埋めていく。断れない依頼。惰性のやりとり。誰かの都合。気づけば一日は、自分の人生とほとんど関係のないことで埋まっている。夜になって、今日も何かを生きた気がしない、と思う。

    僕たちは、時間が有限であることは知っている。けれど、その有限の時間に、いくらの値札がついているかは、ほとんど考えない。値札を決めないまま差し出すから、買い叩かれる。

    時給を上げることを、僕はずっとお金の話だと思っていた。だが違った。これは、自分の時間をどこに置くか、という話だ。もっと言えば、自分の人生を、何に使うかという話である。

    値段というのは、外的に決まるものだと僕たちは思い込んでいる。市場が、相場が、相手が決める。だから、提示された額に、なんとなく従う。でも本当は、最初の値札をつけるのは、いつも自分自身だ。自分が、自分の時間をいくらのものとして扱うか。その内側の評価が、にじみ出て、まわりの扱いになっていく。だから当然、自分で安く扱えば、安く扱われる。高く構えれば、その重さに、相手はだんだん応えはじめる。もはやお金の話ではなく、生き方の問題なのかもしれない。

    今年に入って、個人向けのコンサルを停止した。法人向けには、現在、基本料を1時間で30万円としている。これは「僕の時給は30万円です」という自慢ではない。

    個人コンサルを始めた頃、最初の時給は12000円だった。そこから25000円、50000円と、段階的に上げていった。応募者が多かったので、それに応える時間がなく、仕方なく値上げしたところがある。ここでは需要と供給の市場原理による調整が働いている。

    値上げのたびに、顧客が減るのを覚悟した。でも実際に減ったのは、件数ではなく、「とりあえず聞いてみよう」という、軽い相談のほうだった。価格が上がるほど、相手は本気で言葉を選んでくる。だから、こちらも本気で返せる。対話の密度そのものが、変わっていった。

    そうやって上げていって、ある時点で、気づいた。これは、単純に、単価を上げれば解決する問題ではないことに。

    問題は、時間そのものの、売り方だった。

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  • ワードローブ考察2026

    ひとつの穴から、話は始まる。

    山と道の 5-Pocket Pants。スマートフォンを入れるポケットの底が、破れ始めている。三、四本と履き継いできた自分にとっての定番で、まるで皮膚のようになっている。軽くて、乾いて、歩けて、走れて、旅にも行ける。生活を最適化するために選んだ、文句のない一本だった。けれど、その小さな破れを縫うべきか買い替えるべきか考えているうちに、ずっと大きな問いが立ち上がってきた。

    自分は、何者として街に立っているのだろう。

    クローゼットを開けるといつも黒一色。何がなんでも黒すぎる。山と道、HERENESS、Arc’teryx、Altra、Luna Sandals。すべてが機能・身体性・ミニマリズムの服で、素材は化繊、シルエットはスポーティー、足元はトレランかサンダル。最近は山より、街にいる時間が多くなっている。黒いキャップをかぶると、いよいよ不審者じみてくる。

    問題は黒ではなかった。黒・化繊・スポーティー・スニーカー・キャップ、その全部が同じ方向に振り切れていたことだった。だから今回考えたのは、高機能でギア的な服を、山・雨・ランニングという本来の役割へ戻すこと。そのうえで、街で過ごす制服を、思想を持って組み直す。このJournalはその途中経過な記録だ。

    これまでの服が「機能・身体性・ミニマリズム」なら、今回入ってきたのは「街・現場・生活・余白・育成」。具体的なブランド名を出すなら、Engineered Garments、COMOLI、Maison Margiela、FilMelange、ENDS and MEANS。進化というよりは、積極的退化。ちょっと前の(2020年以前)自分に戻ったようなラインナップだ。

    一着ずつ、なぜそれを選んだのかを書いていく。

    maison de soil homme ─ 最初に開いた生活着の扉

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  • 『Die With Zero』をミニマリズムと仏教で読み直す

    今週はビル・パーキンスの『Die With Zero』(2020)を再読した。

    売れた本なので、読んだことがある人も多いと思う。これがちょうどコロナ禍の時に発売されているのも興味深い。あのパンデミックの非常時には、誰もが残された人生をいかに生きるか、ということを意識せずにはいられなかった。移動が制限され、金が使えなくなると、資産を持っている老人たちは、確かに、ああこのまま移動できないまま逝ってしまうのだろうか。せっかく長い間、働いて働いて資産を築いてきたのに、それを使えないまま、この世を去ることになるのか。だったら、がんばって働かなければよかった。そう思った人もいるかもしれない。

    この本を読んで、「これは富裕層のたわごとだ」と一蹴するのは簡単だ。実際に僕もそう思う。

    著者のビル・パーキンスは米国のバージン諸島を拠点に事業を展開するCEOであり、ヘッジファンドマネージャーやポーカープレイヤーなどを兼任し、資産は1億2000万ドル(約200億円)を超えている。

    「思い出作り」のために、カリブ海にある島のホテルを貸切り、親族や友人を招いた自身の誕生日パーティーを盛大に1週間にわたり開催したくだりは、単純に良いなぁと思うが、楽しさよりも、儚さを感じる。ウェルベックの小説を読んでいるような気持ちになった。

    しかし、本の中で書かれていることは、的を射ている。まとめるとこんな感じだ。

    • 残るのは思い出だけ。思い出作りと経験に投資しよう。
    • 45歳から60歳くらいには資産を切り崩しはじめよう。
    • 死んでから遺産を子供に相続させるのではなく、生きてる間に、適切な時期にお金を与えよう。
    • 若いうちにリスクをとろう。
    • 今使うお金と、残すお金のバランスをとろう。

    僕もこれらのアドバイスには、同意するところが多い。タイトルや表面だけを読むと、死ぬまでに全ての金を使いきれ、と言っているように見えるが、実際は、現在と未来で使うお金のバランスをとろうね、というものだ。

    問題は、多くの人が、将来のために「貯める」ことに比重を置きすぎていて、現在をまるで稼ぐための奴隷のように過ごしているのではないかということ。確かに、稼ぐためには、働かなければならない。1日8時間を会社で働いて、週に2日しか休めない生活の中で、現在を犠牲にして老後のために貯め込む。その老後が、本当に来るかどうかもわからないのに。

    ここで、ひとつ根本的な問いを立ててみたい。

    『Die With Zero』は、いったい誰のための本なのか。

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  • クラウドストレージ脱却物語

    写真や動画が増えて、Apple iCloudのストレージは足りなくなる。

    「もう容量アップグレードでお金を払いたくない!」という強い声が聞こえる。

    無料の5ギガは一瞬で埋まり、50GBにアップグレードして月額150円になる。しばらくして足りなくなり、200GBで450円になる。新しいスマホに乗り換えるも、データを引き継いで当然足りず、2TBにして1500円になる。

    もう面倒だから、6Tを飛ばして、月額9000円を払って最大の12Tを手にいれるストレージセレブも、この世界で増えている。なってみてぇ、ストレージセレブに。

    このようなストレージ問題は、Appleだけでなくあらゆるクラウド系サービスで起こっている。

    現実的に2Tだと余裕がありそうだが、年間18000円を払い続けることになる。東京から福岡までの片道エコノミークラスのチケットが買える。ストレージセレブは、データ量について何も考えなくてよい代わりに、年間108,000円を失う。

    お金よりも愛、愛よりも時間、そして何よりもデータ量を愛するストレージセレブなら年間10万円を失うことは全く痛くないだろう。

    しかし、その10万円を年利7%のインデックスファンドに投資すれば、10年後には197000円になる。毎年10万円を元本として追加するなら(ストレージ年額払いはこちらに近い)、10年後には、147万円になる。これは決して小さくない。

    ストレージへの課金をちょっと節約するだけで、資産形成、子供の学費や、人生が楽しくなる他のことに、お金を使えそうだ。

    だが、ストレージを節約することは、データを保存できないことを意味する。つまり、現在の思い出を保存できないということであり、大切な人との今を残せないことにもなるかもしれない。撮られた写真は全て過去である。過去を思い出すために、現在を保存する。それは未来のためか。あるいは、過去を保存することを辞めて、今をただ生きるか。このあたりを考えるとまた別の問題に派生しそうなので、ここらで止めておく。

    2Tで月額1500円を支払うとして、年額18000円になったあたりから、多くの人はこう考えるようになる。

    「18000円の、2T外付けSSDをひとつ買えば済む話しではないか。」

    確かに、外付けSSDなら1度買えばそれで終わり。クラウドストレージのように永遠に課金され続けることはなくなる。ミニマリスト的には、物理的なモノが増えるのがちょっと嫌だけど、でもそれで毎月のサブスクが一つ無くなるのなら、許してやるか。そんな気持ちにもなる。

    ざっくり言えば、そのようなプロセスで、僕のクラウドストレージからの脱却物語は始まった。

    その経緯は過去にもJournalで書いている。昨年2025年の3月と5月に以下のようなことを考えてきた。

    ・クラウドストレージ課金からの離脱、ミニマルな写真整理術(3月)

    ・脱クラウドストレージ – 写真整理と管理のミニマル化(5月)

    ここでの思考は、以下の流れで止まっていた。

    1、SSDへのデータコピー完了
    2、Lightroomの解約
    3、Photosで直近必要なプロジェクトの立ち上げ
    4、iCloudを使うのか、ローカルでPhotosを操作か。新環境での効率的な「撮る→編集→アウトプット→アーカイブ」ワークフローの考察、構築が必要。

    1年ほど経って、ワークフローも固まったので、その現在地を記しておきたい。

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