Writing

  • ニュー・ライティングシステム

    ChatGPTなどのLLMが明らかにした大きなことは「人は言語により思考している」ということだった。僕たちが当たり前のように使っている言葉は、文脈や用法によって様々と形を変え、結果的に行動を促すという現実を、改めて突きつけられたような気がしている。

    人は言語で思考し、言葉によって行動する。言葉を使って他者とコミュニケーションをし、場合によっては子孫を残す。何か新しいことを始める時も、何かを見たり聞いたりして、調べて、買ったりする。それらには全て言語が介在する。

    言語なしに生きることは、難しい。言語により思考することが、人間を人間たらしめている。AIが出てきて、人間がロボットの様相を強めるのではなく、逆に人間らしさを浮き彫りにするような状況になっている。AIは言語の生成も得意だが、計算も得意だ。生成は、計算だ。その速さに人間は敵わない。理系は終わったと言われ、文系が勝利する時代がくるのか。確かにストーリーテリングの重要性はますます高まるだろう。それは文系的なものだ。ただし、語る側に、まだ人間的なものが残っている場合に限る。いや、むしろ人間的なものを残さなければならない。呼吸をして、身体を使い、思考する。人に会って話を聞いて、その話をまた別の人に伝える。伝承、文化の醸成。動物感覚を取り戻しながらも、言語を用いて思考し、人間を維持していく。そのバランス。

    そんな感じで、つらつらと考えが浮かぶままに。

    何かを作る時、それが音楽であっても僕の場合は書くことから始める。実際に音を出す前に、全体の方向性や、使う機材、ソフトウェアを選定する。しっかり文章を書くことはなくて、ほとんど意味のないメモのようになる時もある。あとで読み返して自分でも何書いているかわからないようなもの。

    これまで書くことによって、生活や仕事、大きくは人生を捉え、進めてきたと思う。書くことは、これからの未来に関する計画でありながら、それ自体が癒しや前進のプロセスだったりする。

    最近、Emacsのファイルシステムを新たにした。今回はその新たな様式を共有する。その前に、これまでの「書くためのシステム」を振り返ってみたい。

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  • 書き方と言語構造 – 何でも結論を先に言えばいいわけではない

    何でも先に結論を言いたがる人が増えているのは、結論を先に求める人が増えているからだと思う。

    結論を先に述べない人に、イライラする人もいる。だからといって思考を停止させ、なんでもかんでもとりあえず先に結論を述べてしまうことは、クリエイティビティを損なうことにもなる。

    と、そんな結論を先に置きながら、書き方と言語構造について考えてみたい。それは根底で、ものづくりに深く関連している。あらゆる創作物、それが文章であっても、彫刻であっても、映像であっても、作り方には順序がある。細部を積み上げて、最終的に全体をかたち作るものもあれば、先に全体を作って細部を整えていくものもある。フォーマットやメディアによっても変わるし、コンセプトや作家によっても変わる。

    先に結論を知りたがる人が増えているのは、忙しくて時間がないとか、ショート動画を中心とした瞬発的なコンテンツ消費が増えたとか、様々な理由が考えられる。ビジネスにおける文章の書き方や、プレゼン資料の作り方、というような効率化や合理化の文脈でも、結論を先に述べることが良しとされる風潮は長らくある。

    これにはまず言語構造が関係していると考える。

    「昨日のパスタが美味しかったのは、麺の硬さでもソースの味付けでもなく、きっと最後に仕上げとしてかけられたペコリーノ・ロマーノチーズのせいだと思う。」

    という文章を英語で表現する時、

    「I think what made yesterday’s pasta so good wasn’t the texture or the sauce, it was definitely that Pecorino Romano they sprinkled on top at the end.」

    という感じになると思うが、英語は、I(主語)のあとに、すぐthink(動詞)がきて、発話の最初のほうで、もう「あ、この人は自分の意見を述べたいのだな」ということがわかる。(S+V+O)話すテーマの着地点が見えてるので、節がどんなに長くても、全体を最初から掴みやすい。

    一方、日本語はS+O+Vという順序になり、「思う」「ではない」という肯定や否定の結論が、一番最後にくる。話し始めの時点では、それが結果的に美味しかったのか、マズかったのか、あるいは推測なのかがわからない。

    この文章例では、特にその差が顕著に出る。

    日本語は、麺やソースではなくという「前置き」がまずきて、チーズのせいで「核心」、がきて、おいしかった「結論」という思考順序になるが、英語はthinkが先にあるせいで、美味しい理由はチーズだったという「結論」が先に思考される。

    英語は、相手に結論を待たせることを避ける傾向を持つ。これには言語構造だけでなく、文化的な背景もあり、英語圏は演繹的、つまり結論をまず置いて詳細を述べていくかたちがとられる。心理的には、要点を早く言ってほしいという感情が働き、誤解が少なく、コミュニケーションは効率的になる。

    一方、日本語はハイコンテクストな言語である。帰納的で、詳細から結論を組み立てていく順序になる。背景を理解した上で、結論を聞きたいという心理が働いており、ニュアンスが豊かで、角も立ちにくい。これは平和的であるが、自分の意見をはっきり言えないこととも深く繋がっている。

    結論を先に言う傾向が広がっている要因として、なぜここで言語構造の話しを持ち出したかというと、教育やビジネスの文脈で採用されているものは、英語圏で生まれたメソッドを、そのまま日本に輸入したものであるからだ。

    例えば、パラグラフ・ライティング/リーディング。この、ひとつの段落にひとつのトピックを書いて、結論、具象、まとめ、という順番に並べるという手法も、英語圏で生まれたものである。西洋の合理主義的視点や、結論を早く伝えるという文化背景から派生している。言語構造や文化背景が違う前提では、不適切にもほどがあるというか、それが日本でうまくいくかは、使い処によっては微妙なところもある。

    英語のパラグラフというものがそもそも横書きで、それがインターネット(PCという横画面)にはふさわしく、一行空けのブロックライティングが主流になり、日本語もブログブームにより横書きの書き手が増えたとか、このあたりの創作手法と関連する考察は掘ればキリがない。

    西洋のレトリックの歴史も深く関係していて、読み手に負担をかけさせず、いかに速く正確に理解させるか、ということに重点が置かれる。英語圏では結論を先に述べないのは、不親切ともされるくらいに、結論が重要だという雰囲気がある。これは多民族・多文化が前提にあり、多くの人種が混ざる国では、日本のような「空気を読む」「言わなくてもわかるよね」が通用しない。だから、「私はこう思います。理由は3つあります。」というような、構造化されたライティングやスピーキングの技術が求められるのだ。

    発信と創作の文脈で考えてみよう。

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  • Apple Notes でミニ生産性のシステムを作る

    Apple Notes でミニ生産性のシステムを作る

    書くことの母艦をEmacsに移行してから、快適だ。長文のアウトライニングや執筆はもちろんのこと、日々のタスク出しや、取材まとめ、情報収集とメモ、フリーライティング、読書ノート、そのようなあらゆることをWorkflowyで行っていた時とかなり近い感覚でこなせるようになった。最後の課題だった、検索性を持たせることはripgrepの導入により、安易かつ爆速に実現できた。ソフトウェアに依存しないシンプルなテキストファイルの優位性を実感している。PC以前のワープロ時代に戻ったような感覚がある。だがそれがとても心地いい。

    UlyssesとCursorもあえて封印して、Emacsオンリーのオペレーションを試みている。しかし現在のシステムだと一つだけできないことがある。それはデバイス間、特にモバイルでのシンクである。Emacsでメインに扱うorgファイルを快適に扱えるiOSソフトがない。あるにはあるが、PCでの操作に比べると圧倒的に心許ない。有料のアプリにいくつか課金して試したが、どれもダメで、諦めて、Apple Notesを使うことにした。これがとてもうまくいっているので、今回はApple Notesを用いてミニEmacs、プチWorkflowyと言えるような生産性のシステムをご紹介する。iPhoneだけでも十分に機能して、純正で無料で使えるのも魅力だ。

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  • 書くスキルを身につけると収入が上がる理由

    書くスキルを身につけると収入が上がる理由

    僕がモノを減らして、日々やっている事といえば、書くことである。

    こう書くと、何もしていないように思えるが、実際は色々している。だが書くことが基盤になっていて、それによりアイデアやビジネスが生まれて、結果的に収入が上がっている。今回は書くことの重要性を改めて考えてみたい。

    考えてみれば、僕らは日々書いている。執筆などしていないと思っている人でも、毎日せっせとLINEの返信を書き、仕事でメールを書き、日記や、料理のレシピ、買い物のメモなどを書いている。人によっては、プログラミング言語でコードを書き、Instagramの投稿のための文章を書き、noteやブログを書き、YouTubeの台本を書き、読書感想文や、論文や、次の会議のためのサマリーを書いている。最近はAIのためのプロンプトも書いているだろう。

    とにかく人間は、書かずにはいられない生き物のようだ。だからこそ、書き方について真面目に考えることは、生き方を考えることになる。

    書くことは二つの意味で収益を生む。それは直接効果と間接効果に分かれる。前者は、例えばnoteなどのプラットフォームで自分で書いた記事を売ることにより、直接的に収益が得られる。僕が運営しているニュースレターや、Coreメンバーシップも同様の種類のものである。作家や小説家も同じく、自分で書いた文章から収益を得ている。書くことそのものがプロダクトになるような形。これはとてもわかりやすい。

    一方、それ以外の書く行為は、間接効果的になる。

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  • Cursorエディタを文章執筆に使う本気の設定

    Cursorエディタを文章執筆に使う本気の設定

    Cursorエディタを文章執筆に使うチューニングを、ここ1ヶ月くらい行ってきた。設定は簡単にできたものの、フォルダ構造や、全体の執筆ワークフローを整えるのに少し時間を要してしまった。今回は、現時点での私の執筆環境を共有する。少々ニッチで突っ込んだことも記載するが、ブログや小説や論文やメルマガや、何かしらの文章を書いている人には役に立つと思う。

    これまでのエディタ使用経歴をざっくり振り返っておく。アウトライナーはWorkflowy、文章はUlysses。この組み合わせで5年くらい書いてきた。近著『写真日記』も全てUlyssesで書いている。これまでのnoteやブログ記事は、ブラウザ直で書くこともあれば、Apple Notesにドラフトを書いて、ブラウザで本稿、たまにUlyssesを通して最終稿という感じで書いてきた。それから、次作に取り掛かる際に、Screvenerを導入してしばらく試したが、挫折してUlyssesに戻っている。

    プログラミングを趣味で行っていて、昨年くらいからコードエディタを文章執筆に使えないかということを模索し始めた。Emacsやneovimを使って、これらは実に禅的だなと感じた。Emacsは今でも週末道場という感じで、修行的に触っている。さらに修行的なものを求めて「ed」なんかも触った。自分が90年代半ばに、初めてPCを触った時のような郷愁に駆られた。エディタ界のミニマリズムと禅の極地とも言えるかもしれない。

    それから現実的なObsidianを触り、マッピングは自分の用途にはtoo muchで、やはり基本はテキストベースのシンプルエディタだなということで、VS Codeで書いたりもした。2025年の4月頃に、Cursorが話題に上がっていて、使ってみたところ最初からミニマルでシンプルなUIにやられた。少しjsonをイジってみると、かなりUlyssesに近くなることがわかり、それから設定を追い込んだ。

    CursorといえばAIベースのコードエディタだが、今回は長くなるのでAI機能については触れない。しかしこれは通常の文章執筆でも驚異的な力を秘めている。

    Ulyssesが年間6000円。Cursorは無料で使える。しかし設定の追い込みと、使いこなしが必要。設定に時間が取られて、肝心の執筆が進まない、ということが起こる。(Emacsほどではないが笑)締め切りが近い人は注意が必要だ。締切が遠い人は、少し腰を据えて、Cursorをライティング用のエディタに仕立ててみよう。

    まずは執筆画面の仕上がりを見てほしい。

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  • ChatGPTをあえて使わないことで起こること

    ChatGPTをあえて使わないことで起こること

    メール作成、仕事の面倒な資料まとめ、インタビュー素材の形成、議事録まとめ、自己分析、ブログ、ダイエットのための食事レシピ、持ち物リストの精査(ミニマリストだけ)、悩み相談、近所の隠れた名店探し、多くの人が日常的にGPTを使うようになった。Web検索が組み込まれてからは、よりその利便性と精度が上がってきた感じがある。

    一通り実験的に試してきたが、僕は書くこと、特にメンバーシップのポストやメルマガ、メールに関しては全くと言っていいほどGPTを使っていない。今もこうやってUlysessを立ち上げてタイプライターモードにしてフルスクリーンで書いている。キーボードを使ってワープロ的に書くことが好きなのだ。何もない黒い画面に、彫刻のように文章が刻まれていく様を見るために書いているところがある。それを熟成させて、サイトに持って行って、今度は白いディスプレイの中に、黒を刻む。

    ただ書くことが好きなだけではない。GPTを使わないことで、起こることに気づいた。誰もがGPTを使い始めたこの時代において、これからは、いかに使わないかが求められている気がする。特に、何かものを作る人にとっては。

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  • 書く時に大事なこと、Ulyssesの使い方

    書く時に大事なこと、Ulyssesの使い方

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  • なぜSubstackか?noteやワードプレスとの違い

    なぜSubstackか?noteやワードプレスとの違い

    先週からSubstackでニュースレターの配信を再開しました。いわゆるメルマガです。初回から想像より多くの方に購読して頂き、驚きと嬉しさが入り混じっています。ありがとうございます。

    https://tokimarutanaka.substack.com

    Substackはメールマガジンの配信スタンドでありながら、ブログのようにWebサイトとして読むこともでき、最近はPodcastが配信できたり、ユーザー同士ではTwitter的なフィードのようなものを使いコミュニケーションができるようになっているプラットフォームです。誰かの言葉を引用して自分の記事内に置くことを「スタックする」と表現しています。

    noteやワードプレスとの一番の違いは、メールボックスに直接記事が届くということです。もちろん、ワードプレスでもメルマガのような機能を実装することはできます。しかし自分でカスタマイズする必要があります。対して、Substackは本来その仕様になっていますので、何も設定せずともメルマガ配信がスタートできます。

    今回はブログで文章を書いている人や、これからブログやnoteを書き始めたいけれど、どのプラットフォームが良いか迷っている人に向けて、Substackとnoteとワードプレスブログのそれぞれの違いや特徴、利点と弱点などを紹介します。情報発信をしたいけれど、何から手を着けてよいかわからない人、これから何かを書きたい人へのヒントや動機づけになれば幸いです。

    目次

    1. 一番簡単なプラットフォーム
    2. WordPress
    3. Substack
    4. フィードとストックを考える
    5. 収益化の原則と本質
    6. コンテンツ継続のコツ
    7. なぜSubstackなのか

    一番簡単なプラットフォーム

    まず結論からいきます。Substack、note、ワードプレスブログの中だと、一番手軽に始められるのはnoteです。

    アカウントを作って、右側の書くボタンを押すことで、すぐに執筆を始められます。合わせて、プロフィールやホーム画面の設定をしてみてください。あとは書いていくにつれてnoteが、キーポイントに達した時に自動的に通知して応援してくれます。どのようにプラットフォームを伸ばしていくか、ある程度自動的にサジェストしてくれるわけです。良く出来ています。

    私は2016年からぽつぽつと投稿し始めて、今年で8年、書いた記事は442本。ブログは学生の頃から20年ほど書いてきたので、開始に問題は全くありませんでした。開始当初はもっと機能も簡素で上場前で小規模だったため、参入のタイミングとしてはアーリーな部類に入ると思います。少しでも他のブログサービスで書いたことがある人なら、エディタもなかなか使いやすく、楽だと感じるはずです。

    フォローしていなくても記事を読んだり買ったりできるので、収益効果は高いですが、ストック型プラットフォームにしてはレコメンドのアルゴリズムがやや弱い印象。Twitterのようなひとことの「つぶやき」や、音声や、動画も投稿はできるのですが、設計的には書く専門の印象が強く、それが可読性の高いデザインに現れています。つぶやきはXが強いし、音声はPodcastが圧倒的に強い。だからnoteでは書くことに集中したほうが良さそうです。もちろん様々なコンテンツを複合的に上手く展開している人も稀にいます。

    ひと記事あたりで販売ができるのも特徴です。その他には、マガジンという月額販売の方法や、メンバーシップを運営することも可能です。

    販売時の事務手数料とプラットフォーム手数料が下記のように徴収されます。

    事務手数料
    コンテンツの決済手段により以下の料率を乗じた額を差し引きます。
    クリエイターご自身が登録されている決済手段ではなく、購読者の決済手段によります。

    クレジットカード決済 :売上金額の5%
    携帯キャリア決済  :売上金額の15%
    PayPay決済  :売上金額の7%
    ポイントでの決済  :売上金額の10%

    プラットフォーム利用料
    売上金額から事務手数料を引いた金額に以下の料率を乗じた額を差し引きます。
    有料記事、有料マガジン、サポート、メンバーシップ:10%
    定期購読マガジン:20%

    note:コンテンツを販売する際に引かれる手数料

    これに対して高いと文句を言っている人もいますが、プラットフォームマージンとしては通常の範囲だと思います。これを割るとビジネスとして成立させるには厳しいです。上場しちゃってるという手前、四半期ごとに昨年の売上を超えないといけないわけですから、厳しいんですよね。この資本主義。

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  • ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論を読んで

    ライティングの哲学 書けない悩みのための執筆論を読んで

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