ミニマリズム
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憂鬱な月曜をリブートするための5つのヒント
会社員時代は月曜日が憂鬱なものでした。特に土日が楽しいと、そのギャップがきつく、自分の人生がこのまま終わるような、何もしたくないような気持ちになったものです。東京の満員電車での通勤は、その憂鬱さを助長させました。早々に地元へUターンした友人を羨ましく思いました。月曜が憂鬱すぎて、月曜日を毎週有給を使って休んだりしていました。しかしそうなると火曜日が憂鬱になります。仕事もさらに溜まっていて、これでは逆効果だと思いました。さらに上司に呼び出され、月曜の有休について問い詰められたり。
そういうことが全て面倒に思えて、僕は会社をやめました。
現在はソロプレナーとして一人で事業をしています。端的に言って、最高です。
曜日が関係のない働き方をしていますが、月曜日は社会全体が動き出すので、自分の仕事も外的対応という意味でアクティブになります。しかし憂鬱な気持ちは全くありません。むしろ、多くの人が出勤して、日中は街中が空くので、ホワイトボックス以外の作業場であるカフェが空いていたりして、ハッピーな気持ちが高まります。さらに堕落的な週末を過ごしてしまった後に来る月曜は、ようやく自分のディープワークやクリエイティブに没頭できるので、楽しみでしかありません。
今回は僕が現在も続けている、月曜の憂鬱を乗り越えるヒントを5つ紹介します。
1、有酸素運動
2、ネスカフェGB(小さなご褒美を、がんばるではなく楽しむへ)
3、作業環境集中モード(IEM)
4、小さく創る(写真、短文、日記、料理)
5、TODOのミニマル化 -
お金なしで心を満たす哲学
心が「満たされる」という感覚は、収入額よりも欲望の総量と注意の向け先で決まります。古代から現代に共通する思想や哲学はみな、欲を見極めて軽くする、注意を整えて今ここを味わう、自分の価値とつながりを生きる、という3本の柱に特徴があります。今回はその3つを簡潔にまとめながら、生活と創作という文脈で、現代における実践可能性を考察します。1. 欲を軽くする
エピクロス:前300年、サモス島。
欲を3種類に分けた
- 自然かつ必要な欲(水・睡眠・友情・素朴な食事)
- 自然だが不要な欲(豪華さ・過剰な快楽)
- 自然でない欲(地位・名声・他人評価)
1は満たしてよい。2は節度をもってほどほどにする。3は不要な欲望であり、手放すと心は軽くなる。
ストア派:前300年ごろのアテナイ。ゼノン、ポセイドニオス、ローマ期にはセネカ、エピクテトス、マルクスアウレリウスなど。
ストア派は「自分でコントロール可能か?」で線引きをした。名声・他人の反応は自分ではコントロールできない不可領域であり、天気や災害も同じである。一方、知恵・節制・勇気・正義といったことは自らコントロールできるもの。これらに集中することを説いた。
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クリエイターのための生産性向上システム
システムと言うほどではないですが、今回は、動画制作、執筆、Webサイトデザインなどのクリエイティブワークを行う際に生産性向上のために実践していることを書きます。ややエクストリームな部分もありますので、実践する場合は直接真似せずに、ご自身の仕事や生活、そしてクリエイティブワークに置き換えて、取り入れられそうなところを参考にしてみてください。
ルーティンと構造化
何かモノを作っている人ならわかると思うのですが、インスピレーションとモチベーションはいつも気まぐれです。何もアイデアが浮かばずに、机の前に座っていたら日が暮れていたということはありませんか?1日は滅多にないですが、私も1時間ほど何もしないまま、椅子に座っていたことが過去にはありました。
そういう場合に必要なのが、ルーティンと構造化になります。生活にルーティンと構造を与えることによって、インスピレーションとモチベーションは自動的に出てくるようになるのです。ルーティンが大事だと言われる所以は全てここにあります。
まず、カレンダーを用いて日次と週次でざっくりとしたスケジューリングを行います。大事なのは、仕事用のカレンダーとプライベート用のカレンダーを分けずに、仕事と生活を全てひとつのカレンダーで行うことです。こうすることにより、自分が生み出すもの=成果物と、それを生み出す土台になるもの=生活の相互関係が可視化されるようになり、両者がスムースに進むようになります。どうしても仕事とプライベートのカレンダーを会社の都合などで分けられない場合は、カレンダー共有機能を使い、形だけでも全ての予定が一覧できる状態をつくるという方法があります。
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長く使っているもの
先日、「壊れるまで使う」という動画を作りました。明け方走っていて、ふとその言葉が出てきたのです。壊れるまで使うことは、捨てることをできるだけ先延ばしにすること。壊れかけのものを捨てずに取っておくと、どんどんモノが溜まり、処分のタイミングを逃し、ゴミ屋敷と化してしまいます。だから、モノを減らすという観点では、潔く捨てるほうが大事です。半端なものや、使用頻度が低いもの、壊れかけのものはすぐに処分する。それがミニマリズムの原則です。
つまり、モノの分量が圧倒的に多い人が、「壊れるまで使う」ことを意識しすぎると、逆に減らせなくなって危険でもあるということです。
ある程度までモノの分量を減らしている人には、「壊れるまで使う」ことが効いてきます。出費が減る、買い物の時間が減る、モノを選ぶ時間がなくなる、ゴミ出しが不要、環境にもやさしい。長く使う過程で、モノを再評価することにもなり、それが満足感や充足感につながります。「もう既に、持っている」と自覚することは、もうこの先、何も買わなくていいことを教えてくれます。それに気づいた時、不思議と安心感のようなものが押し寄せてくるでしょう。
モノを買うという行為には、多くのプロセスが含まれます。広告が出てきて、瞬時にポチる人はおそらく少数派です。広告や購買を促進する情報はトリガーにすぎず、それを見た後に、あれこれ悩んだり、比較したりし始めるのです。そしてなるべく最安値で手に入れようとか、メルカリで状態が良いものが出ていないか確認したりします。商品が決まった後も、然るべき手続きのもとログインして、注文して、届くのを待つ。一人暮らしの人は、受け取る時間を調整して、運送業者に再配達をかけたりして、受け取れなくて、また再配達をかけたりして。ようやく新たな製品が届いたと思ったら、箱から出して、うわーやっぱりいいなと感動しながら、新しく手に入れたものの使い方や方法を模索しはじめます。そしてそれが手に馴染んで、無意識に扱えるようになるには、モノにもよりますがある程度の時間を要します。同ジャンルの新製品、例えばスマホを買い換える時の面倒さは、ここで説明するまでもないくらい、誰もが身に覚えのあることではないでしょうか。
買わなければ、このようなことを一切無しにできるのです。
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GPT-5で断捨離を加速させる方法
OpenAIのGPT5が発表された。o3や4oなどのモデル選択式だったものが、5とthinkingだけになり、質問と内容によって最適なモデルを自動選択して回答するようになっている。ざっくり言えば、5は全ての窓口となり、thinkingは推論モデル前提での使用に適している。
特に強化されているのがコーディングとヘルスケアの分野で、簡単な指示で爆速でウェブサイトを構築してくれる。ヘルスケアの分野は当初は力を入れていなかったものの、米国での使用用途としての需要が高まり、今年に入って強化された。アップルがヘルスケア分野に力を入れていることとも関連はあると思う。ハルシネーションの軽減によって、今後はますますセルフケア・セルフドクターとしてのGPTの使用が広がるのだろう。僕も過去にサプリの最適解を導き出すのにGPTを用いており、今回も新たに5を使って再考してみた。
サイトのビルディングができて、ブランディングや設計ができると、GPTは単なるアシスタントではなく創作物の生成装置と化す。個人が必要な時に、必要なかたちで、アプリケーションやサイトを作れるようになる。これまではアプリ制作やウェブサイト制作会社があり、そのようなものがビジネスとして成立していた時代だったが、今後はおそらく消えていくだろう。誰でも個人で、自分だけのソフトウェアやウェブサイトが作れる、ソフトウェアオンデマンドの時代になるのだ。
GPTには断捨離にも役に立つ。お片付けサービスに頼らなくても、自分で自発的に捨てられるようになる可能性を秘めている。これは基本的には良いことだが、危険もある。改めて、僕の持ち物リストをGPT5に最適化してもらうとしよう。さて、どうなることやら。
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退職を待たずに自由を生きる方法 – 延期された人生からの脱出
僕たちは、退職後の人生に自由が待っていると信じ込まされてきた。まるで砂浜でカクテルを傾けながら、すべてから解放された老後が用意されているかのように。けれど、それは本当だろうか?
19世紀後半、ドイツのビスマルクが国家退職制度を導入し、65歳を退職年齢と定めた時、当時の平均寿命はまだ60歳を少し超える程度だった。つまりこの制度は、老後の余暇を保証するためではなく、若い労働力のために高齢者を労働市場から排除する、いわば政治的な戦略だった。
現代ではそれが自由というラッピングで売られている。退職後の自由のための年金、投資、退職プラン。すべてが将来の安心の名のもとに、今この瞬間の時間と情熱を差し出すことを正当化している。まるで蓄財さえすれば老後は安心、というような、そのようなイメージで溢れている。
アラン・ワッツはこの幻想を「延期された人生計画」と呼んだ。いつか退職する日が来ると信じて、夢や旅、情熱を注ぐプロジェクト、そして愛する人たちとの今の時間を先送りにして生きる。そんな人々に、彼は警鐘を鳴らした。
僕たちは未来バイアスに囚われている。今の喜びを犠牲にして、遠い未来の報酬を過大評価する傾向である。ダニエル・カーネマンも『Fast and Slow』で、人間が短期の幸福と長期の満足のあいだで、どれほど非合理な選択をするかを解き明かしている。
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脱クラウドストレージ – 写真整理と管理のミニマル化
クラウドストレージへの依存は、毎月の使用料、シンクの遅延、ネット環境必須、大量バッチ処理不向き、情報漏洩リスクなど様々な問題がある一方で、物理的記憶デバイスからの解放、分散型バックアップによるデータ保存の安全性など利点もある。何よりミニマリストにとっては、HDDやSSDなど物理的デバイスやケーブルを減らせることが魅力的で、長らくクラウドでのデータ管理システムを構築し運用してきた。持たない、その自由さ。
しかし、今年に入ってから、クラウドストレージの長期的運用を考えた時、実はローカルでデータを扱うほうが「ミニマル」なのではないかと考えるようになった。クラウドは容量を増やすのも簡単で、データが増えたら、追加で容量を買うことによって、ほぼ無限にデータを扱うことができる。ここに大きな罠が潜んでいる。
「とりあえずクラウドにあげておこう」が毎回積み重なると、結局データ量は増え、その整理に時間を取られることになる。データ整理に時間がかかるのはローカルデータも同じだが、ローカルはサクサク感が全然違う。どのようなクラウドサービスであっても(グーグルでさえ)ブラウザやアプリ上で、データを動かして、編集するのはシンクに時間を食う。クラウドに上げれば上げるほど、将来的なデータのハンドリングに時間がかかる。特に大量の写真や動画データを扱うプロフェッショナルほど注意が必要だ。
この問題に取り組んできて、出た結論が、クラウドストレージから脱却し、ローカルに戻ること。まるでグローバル化の流れを再び過去に戻すアメリカの動きに相似するように、僕もクラウドが無かったころのデータ管理環境に戻ろうとしている。高城剛さんに相談したら、考えていたことと近しい答えが返ってきて、脱クラウド化に踏み切ることになった。ちょうど同じくらいのタイミングで、使用しているLightroomの価格が1480円に値上げされた。
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小さな義務感を手放していく
労働、子育て、ゴミ拾い、回覧板、交通ルール、納税、ラインやメールの返信、折り返しの電話。あらゆる社会的義務に囲まれて生きている。そしてその中で生きることは、時に苦しい。社会生活を何事もなく無事に送る、ということはとても大変なことだ。人は生きているだけで、金がかかる。子育てや交通ルール、そのような直接生命に関わる義務は手放すことはできない。それは人間であることで、社会の一員として生きることだ。しかし、それ以外の果たす必要のない義務さえも、果たそうとしていないだろうか。周りの目を気にして「〇〇しなければならない」に囲まれて、完璧を求めて、疲弊していないだろうか?それで自分の人生を見失っていないだろうか?8年前の自分である。今でも気付かぬうちに、あらゆる義務が降りかかってくる。どうやら、歳をとるたびそのような義務は増える一方らしい。ただ、おそらく、ある年齢を超えると、またそのような社会的義務から解放されるタイミングが来る。しかしそこに到達するまでにはまだ時間がかかる。だから僕は、今から小さな義務を手放していく。
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トランプの関税強化と日本経済への影響 – 不確実性の時代へ向けて
先日のトランプ大統領の関税強化発言により、国内外の市場が大きく揺れました。株価は急落し、為替は円高方向に大きく振れています。4日に公表されたJPモルガンのレポートでは「発表された政策が完全に実施されればマクロ経済への大きな衝撃になるとみられ、その場合は米経済、引いては世界経済が今年中に景気後退に陥る可能性が高い」と書かれています。
このような外的ショックは、単なる一時的なニュースではありません。市場の構造、日本企業の体力、家計の行動に波及し、結果的に日本全体の景気動向に深く影響します。この記事では、関税強化による株安・円高の背景を解説し、今後のシナリオを予測しつつ、訪れる不確実性の時代において個人やクリエイターがどのように振る舞えるのか考察します。(私はその道の専門家ではなく、ただのTokimaru Tanakaであることを一応記しておきます)
年初に脱稿したnote記事「エクストリームミニマリズムでFIREをデザインする」では、ミニマリズムを用いた資産設計の戦略について詳しく紹介しています。今回のような経済ショック時には、ミニマリズム的な思考がより有効になります。気になる方はぜひ併せて読んでみてください。
今朝のNY Timesの記事から読み解ける今後のシナリオとしては、世界経済のブロック化が進行するということです。
・米国 vs 世界の構図が強まる。関税強化は日本を含むほぼすべての国に向けて発動。
・各国が報復関税で応酬 → グローバルサプライチェーンが混乱
・物価上昇(インフレ再燃)と景気悪化(スタグフレーション)リスク
・投資家心理悪化 → 株安、円高傾向のトレンド継続
・米国大手IT企業への市場アクセス制限の可能性も欧州側から出始めている
なぜ株安・円高になるのか?その背景を読み解く
関税が強化されると、モノの流れが停滞し、貿易量が減少します。これはグローバルな経済連携を前提とした現代のサプライチェーンにとって致命的なダメージを与えます。
特に日本は自動車・機械・電子部品といった輸出型の産業に強く依存しており、関税が上がると日本企業の価格競争力が落ち、業績が悪化しやすくなります。その懸念から、海外投資家が日本株を売る→株価が下がる、という流れになります。
また、株式市場が荒れ、ボラティリティが高まると、リスク回避の動きが強まり、世界の投資家がより安全資産と見なされる円を買う傾向にあります。これがリスクオフの円高です。円が高くなると、ドル建ての収益が目減りするため、輸出企業にはさらに逆風となり、悪循環に拍車をかけます。
このような構造的背景が、短期間での株安・円高という振れ幅の大きな変動を生んでいます。
景気への影響:企業から家計へ広がる負の連鎖
市場の混乱は、投資家だけでなく私たちの日常生活にも影響します。輸出企業の業績悪化は、ボーナスカットや採用抑制、非正規雇用の削減などに直結しやすく、結果として家計の消費マインドが低下。さらに消費が冷え込むことで、国内需要も落ち込み、景気全体の悪化へとつながっていきます。
特に日本の場合、労働市場の柔軟性が高くないため、一度景気が冷え込むと企業も個人も回復に時間がかかるのが特徴です。
こうした流れのなかで、私たちはどのように備えるべきか。
景気に左右されにくい働き方とは?
今後、企業の広告予算や外注費が削られていく中で、安定しやすい仕事には一定の共通点があります。