昔々あるところに、Apertureという写真編集管理ソフトがあった。Appleが独自に開発していたプロ向けの写真ソフトウェアで、ライブラリ管理機能と編集、さらにカメラを繋いでのテザリング撮影までできるという、UIもなかなか優れたものだった。職業的にカメラマンとして活動するようになったT少年は、Apertureを好んで使用した。
ある日、唐突にApertureの開発が中止された。Apertureに依存していたT少年は途方に暮れた。アップデートが停止されてからも、限界まで粘って使用していたが、それはついに時代遅れなものになった。T少年は仕方なくメインソフトをAdobe Lightroomに乗り換えた。
Adobe Lightroomはクラウドで常時アップデートされ、日に日に使い勝手が良くなっていった。テザリングができないことだけが、プロ向けのソフトウェアとしては使えない部分だったが、Adobeはローカル版のLightroomにその座を譲っていたし、テザリングに関してだけ言えば、老舗のCaptureOneに使い心地の軍配が上がった。
Adobe Lightroomは素晴らしかった。Adobe SenseiというAIが統合されたことにより、強力な検索性能と、編集機能、そしてクラウドによるデバイス間のシームレスな制作環境を提供してくれた。移動中に写真仕事ができてしまうし、ブログや他人に渡す用の作業も簡単に行えた。T少年はAdobe Lightroomに満足していた。
それからT少年は中年になった。毎月クラウドストレージのために1500円〜2200円をアドビに課金していることに虚しくなった。またT中年は写真のクライアントワークから徐々に手を引いて、クリエイティブワークの領域を拡大しようとしていた。また、YouTubeを始めたことにより、写真よりも動画を撮る時間のほうが、1日の中で長くなり、Adobe Lightroomに対する課金の必要性を疑問視するようになった。
どこかのお爺さんとお婆さんが川に洗濯に行っている時、何も無いデジタルスクリーンから、小さなリンゴがどんぶらこどんぶらこと流れてきた。T中年はその小さなリンゴを捕まえて、半分に割ってみた。そのリンゴから出てきたのはPhotosという、なんの変哲もないApple純正の写真アプリだった。
すみません、前置き長くなってます。これまでの経緯はこちらの記事で「脱クラウドストレージ – 写真整理と管理のミニマル化」
Photosがだいぶこなれてきたので、最近のワークフローを共有します。