• 確定申告2026

    今年は早めに確定申告を終わらせた。いつもギリギリで重い腰を上げて、さぁやるかと気合いを入れるのだが、数字を扱う事務作業もやってみると案外楽しい。フォトグラファーの仕事が中心だった頃は税理士に依頼していたこともあるが、最近は自分でやっている。会計と税金の勉強にもなるし、個人の損益(PL)と資産負債(バランスシート)を強制的に把握することになるので、事業の健全性や持続性を測る意味でも大きい。年に一度の財務面の健康診断だと思えば悪くない。なにより、今年の納税額の見通しを早めに確定できるのがうれしい。数字面が固まると気分的にもスッキリするし、直近の予算組みや投資判断も立てやすくなる。

    今回は備忘録として、個人事業者に有利な制度と、僕の確定申告の流れをまとめてみる。電子申告ができるようになって、申告は圧倒的に楽になった。税務署に出向かなくても、条件を整えれば、こたつの中でぬくぬくと申告できてしまう。必要なのは、ざっくり言えば帳簿(収入と経費の整理)、各種控除の証明(保険料控除やiDeCoの掛金証明など)、本人確認まわり(マイナンバーカード+対応スマホ/ICカードリーダー)の3点だ。帳簿は後述するマネーフォワードで半自動的に作成し、各種控除証明はマイナンバーから自動取得できる。ここさえ揃えば、あとは流れ作業になる。

    個人事業者はもちろん必須だが、会社員でも申告が必要(または申告したほうが得)なケースは意外と多い。たとえば、副業の所得が一定額を超える場合、医療費控除やふるさと納税のワンストップ特例を使わない場合、株式の譲渡損益や配当の扱いを調整したい場合、住宅ローン控除の初年度など。特に副業については所得(売上ではなく、経費を引いた利益)がポイントで、会社員で年末調整が済んでいても、副業所得が一定額を超えると原則として確定申告の対象になる。逆に言えば、申告することで還付になる人も多い。自分の副業や事業を始めたばかりの人は、利益が出ていない時ほど、還付金が戻ってくる。

    「NISAをやっているからiDeCoはやらない。60歳まで引き出せないのは嫌だ。」と、なんとなく思っている人は多い。僕も制度を知ったばかりの時はそう思っていた。だが、iDeCoが納税額に与えるインパクトの大きさは、自分の事業にしっかり利益が出たときに初めて体感できる。iDeCoの本質は資産運用だけではなく、掛金が全額所得控除になることだ。つまり、拠出した分だけ課税所得が下がり、所得税・住民税が軽くなる。正直な話、運用利回りの期待値とは別軸で、税負担の軽減という確実性の高いリターンがある。iDeCoは老後のための資産形成に見えて(実際そうなのだが)、今この瞬間を楽にするツールでもある。使えば来年から楽になれる。

    他にも、個人事業主が活用できる制度には、小規模企業共済や、ふるさと納税がある。これにiDeCoを含めて、税金まわりの三種の神器と呼びたい。小規模企業共済は、ざっくり言えば、退職金を自分で積み立てる制度で、掛金が全額所得控除になる。これは会社員は利用できず、フリーランスや個人事業主の特権となる。ふるさと納税は、もう多くの人がご存知の通り、実質2,000円の自己負担で上限の範囲内なら税負担を前倒ししつつ返礼品も受け取れる仕組み(上限は収入や家族構成などで変わる)。特に、僕がやっているようなインターネット中心の高利益率ビジネスは、利益が出やすいぶん税負担も大きくなりやすい。だからこそ、これらの制度を理解して、使える範囲で使っていくメリットが大きい。人によっては、支払う税金が10万〜100万円単位で変わってくる。

    それぞれを詳しく見る前に、もうひとつ、納税額に大きな影響を与える盲点がある。それが国民年金と国民健康保険(国保)だ。

    前提として、国民年金は任意ではなく原則として加入が義務の制度で、所得が低い時期などには免除・猶予といった救済制度があるという立て付けだ。免除すると将来の年金額に影響する。一方で、実務的に重要なのは、国民年金保険料も国保も「社会保険料控除」の対象だという点だ。つまり、払った分だけ課税所得が下がる。さらに国民年金には、月400円を上乗せして将来の受給額を増やす付加年金という仕組みがある。

    このように地味だけど強い制度は、意外と知られていない。税金は正しく然るべくして納める、という立場から節税という言葉はあまり使いたくないのだが、ここではあえてそう言わせてほしい。制度として用意されている以上、条件に合うものは淡々と使う。個人的には橘玲イズムとでも呼びたい。それは個人で長く事業を続けるための、現実的な技術となる。

    iDeCo

    iDeCoは、国が用意している個人型の確定拠出年金で、毎月掛金を出し、自分で商品を選んで積み立てていく仕組みだ。基本は20歳から60歳未満が対象で、会社員や公務員などは一定の条件を満たせば60歳以降も65歳未満まで加入できる。受け取りは原則60歳からで、開始時期は75歳までの範囲で選べる。

    メリットは税制が強いことに尽きる。掛金が全額所得控除になり、その年の課税所得を直接下げてくれる。運用益も非課税で再投資され、受け取るときも年金なら公的年金等控除、一時金なら退職所得控除の枠に乗る。利益が出て税負担が重くなってきた個人事業者ほど、この効き方は体感しやすい。

    最低限のルールは押さえておきたい。掛金には上限があり、立場や企業年金の有無で変わる。自営業など(第1号)は月6.8万円、会社員で企業年金がない場合は月2.3万円、企業型DCに入っている場合は月2万円、DBなど確定給付型の制度を併用する場合は枠が小さくなるのが基本だったが、2024年12月1日からは公務員を含むその区分の上限が月2万円へ引き上げられている。ただし企業型DCやDB等との合算で月5.5万円を超えられず、条件によってはiDeCoの拠出余地が小さくなったり、最低掛金の5,000円を下回って拠出できなくなる可能性もある。

    デメリットとしては原則60歳まで引き出せないこと。生活防衛資金や直近の投資余力を削って入れるのは少しリスクになる。iDeCoの中身は主に投資信託なので、運用商品次第で元本割れも起きる。口座管理手数料などのコストもかかる。さらに、国民年金保険料の免除を受けている期間は加入できないなど、制度上の制約もある。また、掛金額の変更は年に1回しかできないのも注意が必要だ。積立NISAと同じ感覚では使えない。

    だからこそ、まずは無理のない金額で始めて、利益の伸びと生活余力に合わせて調整するのが現実的だ。少額でも確実に納税額には効いて、即効性がある。

    小規模企業共済

    小規模企業共済は、中小機構が運営する経営者や個人事業主のための積立型の退職金制度である。会社員には退職金があるが、個人事業者は退職金がない。だから自分で作ろうね、というものだ。毎月の掛金は1,000円から7万円まで、500円刻みで自由に決められ、後から増減もできる。納付した掛金は全額が所得控除になり、利益が出た年ほど税負担を確実に下げてくれる。

    満期や満額はなく、退職や廃業のタイミングで受け取る。一括、分割、併用から選べて、一括は退職所得扱い、分割は公的年金等の雑所得扱いになる。自分のタイミングで意図的に解約可能、という意味では若干であるがiDeCoよりも自由度は高いかもしれない。受け取る時に税金がかかり、その方法により税負担も変わるので、出口設計を考える必要がある。

    デメリットは資金拘束だ。基本は辞めるまで引き出せない。任意解約は掛金納付が12か月未満だと受け取れず掛け捨てになる。さらに20年未満で任意解約すると、受取額が掛金合計を下回ることもある。

    一方で実務上の強みもある。積立残高の範囲内で契約者貸付を使え、掛金納付月数に応じて掛金の7〜9割が目安だ。事業の資金繰りにおける逃げ道として、これがあるだけで安心感が違う。

    ふるさと納税

    ふるさと納税は、自治体への寄付として扱われ、確定申告またはワンストップ特例の手続きをすると一定の上限まで自己負担2,000円を除いた分が、所得税と翌年度の住民税から控除される仕組みだ。要するに、来年払う住民税の一部を前払いして、応援したい自治体に振り分ける制度だと思えばわかりやすい。控除の計算は所得税の寄附金控除と、住民税の税額控除に分かれていて、上限は収入や家族構成、他の控除の状況で変わる。

    大事なことは二つだけで、上限を超えないことと、証明書を失くさないこと。上限を超えると、超えた分はそのまま自己負担になる。だから年末に勢いで入れずに、まずは上限の目安を計算して、その範囲内で淡々とやるのが安全だ。

    会社員向けに有名なワンストップ特例は、寄付先が5自治体以内など条件を満たせば、確定申告なしで住民税から控除できる制度だ。申請期限は翌年1月10日必着が基本で、ここを落とすと結局確定申告が必要になる。なお、ワンストップを出した人でも、医療費控除などで確定申告をすることになった場合は、ふるさと納税も含めて申告側でまとめ直すのが原則になる。個人事業者はそもそも確定申告をするので、ワンストップにこだわらず、申告で一本化したほうがミスが減る。

    僕のように冷蔵庫が小さいと、返礼品の定番である肉や魚の大容量セット、冷凍の定期便は、物理的に難しい問題がある。だから発想を変え、返礼品はご褒美ではなく、生活の消耗品の置き換えとして考える。常温で置けるもの、日々確実に消費するもの、買う予定だったものを選ぶ。たとえばコーヒー豆、茶、海苔、だし、調味料、レトルト、缶詰などは、冷蔵庫を圧迫しないうえに生活コストの置き換えになる。食品以外なら、トイレットペーパーや洗剤なども相性がいい。とはいえ、それでも場所は取るので、モノ以外の返礼品を選ぶのが、ミニマリストには良いのかもしれない。特に14平米のワンルームで暮らしている人にとっては。あとはiDeCoと小規模企業共済をフル活用して、ふるさと納税の比重を軽めにする、というのも僕がよく使う方法だ。

    あえて冷蔵庫を圧迫する返礼品を選ぶなら、量ではなく配送方法を考えるのもいい。小分け包装、配送月の指定、回数を分けた配送ができるものを選べば、物量は同じでもストレスは減る。返礼品を選ぶ時点で、家の収納と物流のキャパに合わせる。ここを守れると、ふるさと納税は生活を乱さずに得を取りにいける制度になる。

    最近の動きとして、2025年10月1日から、ポータルサイト独自のポイント付与による募集が禁止されている。以前のようにポイント目当てでサイトを選ぶ時代は終わり、これからは返礼品の内容と自治体の使い道で選ぶのが基本になる。なお、通常のクレジットカード決済で付与されるポイントは別枠として扱われる。

    最後に申告の話。ふるさと納税は件数が増えるほど入力が面倒になるが、国税庁が案内している寄附金控除に関する証明書の電子データを使えば、e-Taxでまとめて処理できる。電子データはXML形式が前提で、PDFでは不可というルールもあるので、使うなら最初からXMLで揃えておくのがコツだ。

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  • 2026-01-19

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  • ソロプレナーの魅力

    ソロプレナーという言葉には、単なる働き方以上の思想が含まれている。

    Solo(ひとり)とEntrepreneur(事業を起こす人)を掛け合わせた造語は、もともと米国や欧州のテック文脈で、個人開発者や小さなチームがプロダクトを作り、運用し、収益化まで担う姿を指して広まった。だが本質はコードを書く人だけに閉じていない。むしろ最近はAIの力によって、様々なかたちのソロプレナーが生まれていると感じる。重要なのは、複製可能な創作物を武器にして、事業を自分の手で設計し、意思決定の速度と生活の自由度を最大化するという点にある。

    ソロプレナーの魅力を一言でまとめるなら、自分の時間を自分で決められることだ。会社員や、クライアントワーク中心のフリーランスは、どれだけ裁量があるように見えても、締め切りや稟議、会議、現場への移動、相手都合の調整に人生が侵食されやすい。

    もちろんそれ自体が悪いわけではない。しかし、瞑想やヨガのように、長い時間軸で積み上げる営みを生活の中心に置きたい人にとって、誰かの時間に左右される構造は致命的になり得る。馬鹿げた話かもしれないが、アシュタンガヨガにどハマりした2023年、仕事などしてる暇はない、ずっとヨガだけをしていたいと本気で思っていた。

    朝起きて、その日やることや優先順位を自分で決められるか。集中の波が来たら深く潜れるか。逆に、一切何もせずに整える時間を取れるか。ソロプレナーは、その主導権を自分の側に取り戻すための仕組みだ。自分の人生を取り戻すための行為という点では、ミニマリズムと同様であると言える。

    圧倒的に自由である代わりに、引き受けなければならないことも多い。ソロプレナーは、0から1の立ち上げだけではなく、1になった物事を回し続ける運用まで全てを担う。事業や会社全体の設計、プロダクト設計、販売のための導線づくり、マーケティング、広報、顧客対応(CS)、改善。会社なら分業される工程が、基本的に自分に集約される。そういう意味ではジェネラリスト的性質の人が有利である。これは言い換えれば、何かの専門分野に特化したスキルを持っていなくても、ソロプレナーになれる可能性があるということだ。昨今はAIがその可能性を広げている。

    ここで多くの人が誤解するのは、ひとりで稼ぐ=気楽というイメージだ。実際には、気楽かどうかは人による。自分で決めたい人にとっては快適で、決めることが負担な人にとっては過酷になる。だからソロプレナーを目指すべきだ、と主張したいわけではない。むしろ、向き不向きを明確にし、自分に合う仕組みを選ぶために、この働き方を言語化しておく価値がある。

    面白いのは、ソロプレナーという言葉がコードを想起させる一方で、文章にも同じ構造があること。コードも文章も、テキストとして書かれ、編集され、複製可能で、蓄積され、場合によっては資産になる。コードはコンピューターのソフトウェアを動かし、文章は人間のソフトウェア(脳)に作用している。文章には読む人の意思決定、行動、価値観、習慣を変える力がある。つまり、執筆者もまた、別の意味での開発者になり得るのだ。

    エディタで書き、改善し、公開し、フィードバックを得てアップデートする。この循環は、プロダクト開発のサイクルと驚くほど似ている。

    ソロプレナーの核は、クライアントワークから距離を取り、自分の作品資産を積み上げることにある。

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  • 2026-01-12

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  • 個人ブランドの作り方

    目次

    1. ネーミングの重要性
    2. 理想の未来を設定する
    3. 模倣する
    4. ブランドコンテンツを作る
    5. 自分のストーリーを書く
    6. 問題が出たら引き算で

    1. ネーミングの重要性

    ブランド(会社)を立ち上げる時、名前は重要だ。名前は、最初のプロダクトであり、最初のUXだと言える。人はあなたの活動を、まず言葉として受け取る。だから、親しみやすく、書きやすく、覚えやすく、口に出しやすい名前ほど、出会いの摩擦が小さくなる。発音しやすい名前ほど好意や記憶に繋がりやすい。

    有名企業を思い浮かべると、摩擦の少なさが徹底されていることが分かる。Apple、Amazon。短く、口に出して気持ちいい。日本でも、メルカリ、ユニクロ、吉野家。どれも人が覚えるための負担を極限まで減らしたような名前だ。ここで大事なのは、センスよりも設計である。覚えやすさは美学であり、同時に戦略なのである。

    名前は人間の記憶のためだけでなく、検索と一覧のための名称でもある。かつては電話帳や企業ディレクトリが強かった時代があり、アルファベットの早い位置にある名前が有利になる場面が確かにあった。実際、スティーブ・ジョブズは「Atar(米国のゲーム・家電企業)より電話帳で先に出る」という理由もAppleという名前の一因だった、と振り返っている。Amazonも創業当時、サイトの一覧がアルファベット順で並ぶことを意識し、Aで始まる単語を辞書で探したという話が残っている。もちろん現代は、電話帳が主戦場ではないが、一覧に並ぶ、検索される、読み間違えられる、という現象自体は形を変えて今も残っている。App Store、SNS、検索結果、音声入力、友人への口頭紹介。どこでも、名前は並び、聞かれ、打たれるものである。

    ここで話は、ドメインに繋がる。ネット時代のビジネスは、極端に言えばドメインファーストだ。ドメインの重要さを理解していない経営者は意外に多い。会社の名前をつけたあとで、その名前が既にあったり、他のサービスが使用しているというパターンは最悪だ。

    サイトのURLだけでなく、独自ドメインのメールまで含めて、名前は信用の器になる。実際、独自ドメインのサイトやメールは信頼・信用の判断に影響するという調査が複数ある。

    名刺を配る前に、リンクを渡す前に、人は一瞬であなたを判断する。その一瞬で目に入るのが、ドメインとメールアドレスだ。ここが整っていると、たとえ小さな個人事業でもきちんとしているという印象が立つ。逆にここが崩れると、中身が良くても入口で損をする。

    だから、ブランドネームや会社名を考えるときは以下を考慮する

    • その名前は、子どもでも一発で書けるか(スペルミス耐性)
    • 初見で読めるか、口に出して気持ちいいか(発音の自然さ)
    • 一回聞いて覚えられるか(短さ・リズム)
    • そして何より、その名前で .com(あるいは主要TLD)が取れるか、主要SNSのハンドルが取れるか

    固有名詞の強さは、ここで効いてくる。唯一無二の単語は、ドメインも取りやすく、検索でもあなたに収束しやすい。逆に、半端に一般語に寄せた名前は、競合が増え、検索の文脈が散り、ブランドの輪郭がぼやける。昔はキーワードをそのままドメインに入れて上位を取るという発想が流行したが、Googleは低品質な完全一致ドメイン(EMD)を順位面で抑えるアップデートを行ってきた。つまり、ドメインや名前だけでショートカットしようとすると、長期ではむしろリスクになりうる。

    最後にもう一つ。名前は、あなたのビジョンを表すためにも重要だ。ブランド名は、看板であると同時に、羅針盤でもある。「この名前の人なら、こういう未来に向かっているはずだ」と、他者の期待を生むような名前は強い。期待が生まれると、物語が始まる。物語が始まると、コンテンツが積み上がる。積み上がったコンテンツは、やがて名前そのものを意味に変える。

    名前は最初の投資で、最初の約束である。軽く決めない。だが、こねくり回しすぎてもいけない。最小の言葉で、最大の未来を背負える名前を選ぶ。ここから、ブランドは始まる。

    2. 理想の未来を設定する

    個人ブランドは今の自分を飾り立てる作業ではない。むしろ逆で、未来の自分に向けて、いま何を捨て、何を積むかを決める設計だ。ブランドとは、世界に対する一種の約束であり、約束である以上、時間軸を持つ。だから最初に必要なのは、ロゴでも肩書きでもなく、どんな未来へ向かうのかという一点になる。

    たとえば今、ただ服やモノを作るだけでは勝ちにくい。安くて良いものは、ユニクロや無印良品のような巨大な仕組みが、すでに高い水準で供給している。価格・品質・流通という土俵で戦うと、個人や小さなブランドは消耗する可能性のほうが高い。これは冷たい現実だが、同時に救いでもある。埋もれないためには土俵を変えればいいからだ。価格ではなく、意味。機能ではなく、文脈を重視する。

    そこでストーリーが立ち現れてくる。

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  • 2026-01-07

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  • 「富の階段」をミニマリズムの方法論を用いて脱構築してみる

    ニック・マジューリ『THE WEALTH LADDER 富の階段』を読んだ。

    資産にはレベルがあり、レベル(階段)ごとに行うことが異なるという内容で、その戦略が書かれている。

    偶然か、二週間前に「フェーズとビジネスモデル」というテーマのJournalを書いた。ここで対象としたのは、フォロワーと収益だったが、タイトルの”フェーズ”はすなわちレベルとほぼ同意義である。ニック・マジューリは収益ではなく富に主眼を置く。今回は、本に書かれている内容に、ミニマリズムの方法論を加えて考えてみたい。

    お金の話が難しくなるのは、ほとんどの議論が万人に同じ正解を探しにいくからだと思う。だが現実は違う。資産ゼロに近い人と、すでに億を持つ人では、同じ行動がまったく違う結果を生む。筋トレで言えば、退院直後の人に高重量スクワットはお勧めしないし、トップアスリートに散歩だけを勧めても伸びない。「フェーズとビジネスモデル」では、プラットフォームの成長度合いによって戦略が異なることを解説した。資産形成も同じで、今いる地点によって攻略法は全く変わってくる。

    ここでは、資産を6つのレベルに分けて考えている。ここでの資産は、現金・株式・その他(不動産はローン・負債を除く)とする。目安は以下のとおり。

    レベル1:0〜150万円
    レベル2:150万円〜1500万円
    レベル3:1500万円〜1億5000万円
    レベル4:1億5000万円〜15億円
    レベル5:15億円〜150億円
    レベル6:150億円以上

    重要なのは、レベルが上がるほど努力の方向と方法論が変わっていくことだ。序盤は生存と立て直しに重きが置かれ、中盤は稼ぐ力が大事になり、後半は資本と仕組みの世界になる。これが富の階段の骨格になっている。

    レベル1(0〜150万円)は、とにかく守りが最優先になる。この層は全レベルの中で2番目に多いとされる。投資以前に、出血を止めなければならない。悪い借金(高金利のローン、リボ払い、見栄の消費など)があるなら、まずそこを断つ。過去に「借金を返済する方法」という動画を作っているが、僕もまさに20代の頃はこのレベルにいて、もがいていた。最初にやったことは、リボ払いの借金の返済だった。

    ここで必要なのは派手な知識ではなく、生活を壊す要因の排除だ。そして学習はなるべく無料で利用できるものを使う。図書館、ネット、現場の仕事から吸収できるものは多い。ここはミニマリズムの本領とも言える領域で、固定費と誘惑を徹底的に削って次の一手を打つための余白をつくる段階だ。

    レベル2(150万〜1500万円)に入ると、少し景色が変わる。ここは最も人口が多いレベルでもある。貯金ができ、精神的にも少し余裕が出てくる。だがここでの主戦場は積み立てNISAでも不動産でもなく、自分への投資だ。実はまだ株式投資をしっかり行うレベルではないのである。それよりも自己投資で収益を伸ばすほうが収益率は高くなる。

    節約はもちろん効くが、レベル2が本当に超えるべき壁は収入の天井になる。市場価値が上がるスキル、伸びる領域への移動、学習と制作の習慣化。ここに資本(時間と少しのお金)を集中させた方が、将来の余剰とリターンは大きくなる。ソロプレナーならなおさらで、発信、編集、執筆、セールス、プロダクト設計は資産を生む技能になる。投資はNISA口座を使って行うのに越したことはないが、自動かつ小さい積み上げでいい。あくまで優先順位は、指数の利回りより、自分の伸びしろということになる。

    レベル3(1500万〜1.5億円)は、労働だけでは届きにくい領域に入る。ここからようやく「自分が稼ぐ」ではなく、「お金が稼ぐ」を本格的に起動する。投資比率を上げ、できるだけ早い時期に厚く入金する。時間を味方につける。同時に、収入源は時給労働を手放していく。ここでは月給をもらっている会社員も、自分の時間を売って報酬を得ているという意味で時給労働となる。

    僕が提唱してきた「エクストリームミニマリズムでFIREをデザインする」の核はこのレベルにある。極端に持たないことで生活の下限を固定し、浮いた時間と収益を、学習とコンテンツ、そしてプロダクトに再投資する。ひとつの会社に人生を預けず、発信・販売・コミュニティ・コンサル・版権など複数の収益の柱をつくる。レベル3は、資本と創造性のダブルエンジンで登る階段だと言える。

    レベル4(1.5億〜15億)は「仕組み」がテーマになる。自分が動かなくても、自動で回る仕組みを作り、その比率を増やしていく。外注、SOP化、サポートの分離、商品導線の自動化。ここで大事なのは、売上よりも再現性だ。自分が倒れたら止まる構造のままでは、規模を上げるほど脆くなる。実はYouTubeは、出演を自分に依存しているという点では、倒れると止まる構造のものである。

    逆に言えば、ここまで来たらどこまで登るかは価値観の問題でもある。このレベルに到達した時の問題は、プレイヤーから管理へと移行して、仕事が面白くなくなってしまうことである。ここで言うプレイヤー/管理は、会社員の文脈で使われる営業職/管理職という意味合いとは若干異なる。なぜなら、すでに仕組み化・自動化が完成している段階のため、プレイヤーであってもほぼ現場に出ない場合もあり、管理であるとなおさら現場に行くことはない状態になるからである。

    現場や、自分の手を動かして行うことが好きなら、あえてこのレベルで満足してもいい。次のレベルを目指さないほうが、人によっては幸せになれるということである。

    レベル5〜6(15億〜150億〜)は、世界が別物になる。ここでの拡大のコアは事業売却やM&Aであり、それに法務や防衛、ガバナンスが付随する。これは一般論として知っておけば十分で、ほとんどの個人にとって重要なのは、レベル2〜3をどう突破するかだと思う。

    以上がレベルごとの状態と戦略の話し。

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  • 2025/12/30

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  • 1日で2026年を組み立てる自己改革プロセスの実践ワーク

    この時期になると新年の目標を立てたり、来年の計画を立てたりしているかもしれない。アナログ派の人は、新しい手帳を選んで、何もない空白のページを眺めたり。何かと楽しい時期である。

    しかし、あなたは今年の年始に立てた目標を、達成できただろうか。多くの人は年始に立てた目標をほとんど達成できないし、1月が終わる頃には立てたことさえ忘れてしまっていて、12月の今となればそれが何だったのか全く思い出せない人もいる。

    なぜ目標を達成できないのだろうか。

    それは表面的な行動だけに焦点を当てていて、自分自身のアイデンティティを変えていないからである。本当に変化するためには、行動ではなく、自分が何者であるかを変える必要があるのだ。

    例えば、来年は健康でいたいからと、「週3回ジムにいく」と目標を立てがちだ。日本で義務教育を受けて、受験や就職合戦を経て日本の古い企業の中で育っている僕たちは「目標はなるべく具体化せよ、数値化せよ」と教わってきた。もちろんそれが良い場合もある。しかし目標を立てることにおいては、ひとつ抽象度を上げたほうがうまくいく。表面的な行動は日々のルーティンでいくらでも補強できるからだ。

    この目標の本質は、ジムに行くことではなく、「健康でいること」のはずだ。それならば、あなたの行動は週に3回のジムでなくたっていい。散歩を毎日して、たまに友人と公園でフットサルをして、週末は家族とキャンプや近くの里山へハイキングにもおよばない程度の散策にいく。近くにジムがあるのなら、週に1回くらいはみっちりトレーニングに励んでもいいかもしれない。

    このように目標の抽象度をひとつ上げると、本質に近づく。何より、気が進まない中、ジムに週3回通うよりも、楽しく、健康になれる。目標は自然に達成される。この時、アイデンティティにも変容が起きている。あなたはただ「ジムに週3回行く頑張っている人」ではなく、「健康な人」になっている。

    成功している人は努力して良い習慣を続けているのではなく、それが自然な生き方になっている場合が多い。

    つまり〇〇しなければならない、ではなく、〇〇してしまう。という状況になっている。

    何も考えずとも、好きで勝手にやってしまうこと、は強い。(それが悪い習慣の場合は断ち切る必要があるが)

    良い習慣を自然な生き方にするために、以下を考えている。

    1、フォーカス(集中力の維持)
    2、ミニマリズム(行動の厳選、アンチビジョン)
    3、ディープワーク(本質的な仕事)

    この3点を考え、日々実践することで、アイデンティティの変容が起こる。それは1日では変わらないが、自分の中にラフなガイドラインを引くには、1日あれば十分である。

    年末のたった1日の実践的なワークが、先の1年を作る。先の1年(2026)がうまく回れば、3年後には目標を達成している。会社に依存せずに、好きなことで生きる体力と技術が身についている状態になる可能性も高い。

    振り返ってみれば、僕がなにかを始めるのは、いつも冬だった。

    ある年は1/1から毎日写真を撮り、文章を書くことを始めて「写真日記」という作品を作った。ブログの毎日更新を始めた時期も、いつの年かの冬休みだった。正月からカフェの外の寒い席で、MacBookだけをもってブログを書いていた日のことを今も覚えている。思い立って冬のパリで年越ししようと思ってベトナム経由で旅に出た年もある。東京屋上小屋暮らしができる場所を見つけたのも、3年前の冬だった。

    どちらかと言えばずっと夏が好き。寒いのは嫌だ。だけど、何かが始まり、自分に変容が起きたのはいつも冬だった気がする。それは僕がずっと一人暮らしで、ホリデーシーズンのイベント事と無縁の人生を送ってきたことも少しは関係しているのかもしれない。

    みんなが遊んで浮かれている間に、ひたすら文章を書き、写真を撮り、走り、自分の現状を見つめ直し、それに落胆し、何かを変えようともがいていた。冬にひたすら自分のディープワークとルーティンを続けた年は、春に少しだけ何かが花開いた。多くが遊んでいる冬の間に、ひとりこもって修行をして、その修行の成果が春に出るみたいな。なんだか、受験勉強を冬休みに頑張ったやつと、頑張らなかったやつの成果が、休み明けに出るのにも似ている。ここでも思考は結局義務教育や受験という社会システムに縛られているのか。

    あるいは、子供時代に冬を勉強漬けで過ごした人は、その反動として、大人になると遊び・休む季節になるのかもしれない。その点、僕は勉強をあまり頑張らなかったので、今になってそれが功を奏して?、冬に修行、春に開花、という世間とは逆の流れを生んでいる。そのようなことを繰り返し、気づけば、圧倒的に自由になっていた。

    話を戻そう。

    先の1年を組み立てる、1日でできる自己改革プロセスの実践的ワークを提案する。

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  • 2025/12/22

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