5月19日

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5月19日

朝起きて窓を開ける。暑くも冷たくもない風がカーテンを揺らしながら狭い部屋に入ってくる。同時にまたカレーの匂いがする。誰かが朝からカレーを作っているのだ。日曜日というのはどうやらそういう日らしい。カレーの匂いにつられてかは知らないけれど、ヨガマットを敷いて練習を始める。おそらくカレーの匂いがなくてもヨガはやるのだろうし、ヨガをやらなくてもカレーを食べるのかもしれない。いずれにせよ僕は今日もその両者の関連性に思いを巡らせる。しかし何も答えは出てこない。

練習はいつも通り、アシュタンガヨガのプライマリーシリーズ。今日は少し起きるのが遅くなってしまって、その後の予定のことも考えてスタンディングシークエンスで終了して、そのままフィニッシングを行い、瞑想に入った。アシュタンガヨガの良いところは、これは多くの練習生や先生が同じく口にしていることだけれど、自分で練習の量を調整できること。ポーズを行う順番が決まっていたり、その順番を組み替えてはならなかったり、いくつかルールがあるものの、ひとつのシリーズの中で流れに沿っていれば、ある程度カスタマイズが効くということだ。昨年David Swensonの本を読んでいて、その事実に思い当たった。その本の中ではアシュタンガヨガのプライマリーシリーズのシークエンスを分解して、10分のショートバージョン、30分のミドルバージョン、1時間のフルとはいかないまでもしっかりバージョン、という風に時間を軸にしておすすめポーズの組み立てが紹介されていた。時間が無いあなたのために、と言わんばかりの内容で、実際そのように書かれていたような気もするがただの思い込みかもしれない。

フルプライマリーを全て行うとだいたい1時間30分ほどかかる。ある程度回数をこなしていくと、このあたりで区切ると何分くらいになるな、というのがわかってくる。それで開始時間、つまりヨガマットに立ったと同時に時間をみて、その後の予定を逆算して、今日はここまで行おうという組み立てを考えられる。パートを大きくわけると、スリヤナマスカラ(太陽礼拝)→スタンディングシークエンス→シッティングシークエンス→フィニッシングシークエンスとなる。太陽礼拝をピロローグとした三部作という感じ。教科書的には、どこで終わっても必ずフィニッシングを行わなければならないとされている。(フィニッシングを行わなければ病気を引き起こすとまで書かれている本もある)つまり、今日は時間が無いから太陽礼拝だけやろう、でも良いのだけど、太陽礼拝だけを行うにしても、その後はフィニッシングポーズを全て行わなければならないということ。もちろん自分もなるべくそのように練習しているが、本当にどうしても時間が無い時は、太陽礼拝だけをして、そのまま瞑想に入ることもある。

実感として言えるのは、できるだけフルプライマリ全てを行ったほうが効果は高いということ。これは変則的にあらゆる方法で練習を行って気付いたのだけど、山を登ることに似ている。山を登るというのは山頂まで行って返ってくること。途中で引き返すことは、危険が伴うか道中に怪我をした場合を除いてほとんどないから、登山というのは始めてしまえばフルが基本になっている。アシュタンガヨガで言えば毎回がフルプライマリーという状態。確かに山に登った経験や気分というのはその後数日、あるいは数ヶ月は持続する。その気分が切れると、また山に登りたい、という状態になる。僕の先生も、キリマンジャロに登ったら、その後2年くらいは元気が持続したと言っていて、その話しがとても印象に残っている。そういう意味で、アシュタンガヨガもフルで行うとその後数日間は気分が持続する。瞑想的というかヨガ的というか、神聖さと言えば大げさかもしれないけれど、何か身体の奥底から溢れてくるようなエネルギーのようなものが持続する。言葉ではうまく言えない。

練習が終わってこの文章を書いている。そう言えば、前回エディタの話しをしたけれど、その中でワードプレスのエディタをUlysses風に使うことについて模索してきた。でも結局またUlyssesを契約することにした。やはりこの書き心地は他には無いなと思ったからだ。久々にダウンロードしてみたら、1週間のフリートライアル期間が付いてきて、ラッキーと思いながら様々な文章を書いていたらあっという間に一週間が経ち、見事にAppleのサブスクリプションにUlysses(6000円)が課金されていた。課金されたからにはしっかり使っていこうと思う。

Ulyssesはサブスクの契約期間が切れると、これまで書いたテキストはRead Only Modeへ自動的に移行する。ファイルと文章は消えはしないけど、文字通り編集はできずに読むだけのモードになる。自分が過去に書いた文章を編集できない状態で読む、というのはなかなか不思議な感覚で、可塑的で定着前の文字が、固められて一気に本番原稿のテキストとしての物質性を帯びてくるようだ。それがこの自由なエディタであるUlyssesで起きているというのが面白い。これから得られる試みとしては、例えば一ヶ月だけ契約して、そのあいだひたすら文章を書いて、契約延長せずにあえてそのままRead Only Modeにして、本番原稿としてしまうことを思いついた。ただその場合、ファイル書き出しや共有もできなくなるはずなので、入稿や作品化もできないのかと思う。新たな機能も実装されているので、色々試したい気持ちはある。

設定としては以前使っていた時と同じで、タイプライターモードにして、行は中央固定で、フルスクリーンモードで書いている。今は右上にワードカウントだけを表示させている。このワードカウントも非表示にできることが素晴らしい。そうなると全画面の中に文字だけが浮かび上がる。背景色は黒が好み。フルスクリーン時は黒背景で、フォルダ作業を行う時はマシン基準にしている。そうすることによって黒でフルスクリーンに入った瞬間に、書くモードに入れる。フルスクリーンにしたら書く、ということを反射付ける。

お昼は当然のことながらカレーを食べに行く。できれば南インドスタイルで、ナンとライスが選べるけれど当然ナンで、サラダとラッシーも付けてもらおう。