Tokimaru
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Apple Notes でミニ生産性のシステムを作る
書くことの母艦をEmacsに移行してから、快適だ。長文のアウトライニングや執筆はもちろんのこと、日々のタスク出しや、取材まとめ、情報収集とメモ、フリーライティング、読書ノート、そのようなあらゆることをWorkflowyで行っていた時とかなり近い感覚でこなせるようになった。最後の課題だった、検索性を持たせることはripgrepの導入により、安易かつ爆速に実現できた。ソフトウェアに依存しないシンプルなテキストファイルの優位性を実感している。PC以前のワープロ時代に戻ったような感覚がある。だがそれがとても心地いい。
UlyssesとCursorもあえて封印して、Emacsオンリーのオペレーションを試みている。しかし現在のシステムだと一つだけできないことがある。それはデバイス間、特にモバイルでのシンクである。Emacsでメインに扱うorgファイルを快適に扱えるiOSソフトがない。あるにはあるが、PCでの操作に比べると圧倒的に心許ない。有料のアプリにいくつか課金して試したが、どれもダメで、諦めて、Apple Notesを使うことにした。これがとてもうまくいっているので、今回はApple Notesを用いてミニEmacs、プチWorkflowyと言えるような生産性のシステムをご紹介する。iPhoneだけでも十分に機能して、純正で無料で使えるのも魅力だ。
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三条の湯までの瞑想的歩行
新著の出版が終わると、久々に長い距離を歩きたくなった。
奥多摩駅からバスを乗り継ぎ、三条の湯へ向かった。
久々のハイクログ。

Base Weight 8kg
Pack Weight 10.4kg僕にとっては重いほうで、過去最大の積載量かもしれない。その理由は、山を降りて家に帰らず、更にそのまま転々と3泊しようと思っているから。合計4泊5日の旅である。
街に降りて継続的に作業できるように、いつもの撮影システムに加えて、ラップトップを積んでいる。これが重量を増やしている。だがよく考えてみれば、山行の前後に都市での滞在を組み込むバリエーションは結構ある。過去にも長野や屋久島で、そのような旅をしてきた。むしろ、One Bagで生きるということは、それだけでどこでも暮らせることだ。都市と自然をシームレスにつなぐことを、常に考えるということ。
(さらに…) -
お金なしで心を満たす哲学
心が「満たされる」という感覚は、収入額よりも欲望の総量と注意の向け先で決まります。古代から現代に共通する思想や哲学はみな、欲を見極めて軽くする、注意を整えて今ここを味わう、自分の価値とつながりを生きる、という3本の柱に特徴があります。今回はその3つを簡潔にまとめながら、生活と創作という文脈で、現代における実践可能性を考察します。1. 欲を軽くする
エピクロス:前300年、サモス島。
欲を3種類に分けた
- 自然かつ必要な欲(水・睡眠・友情・素朴な食事)
- 自然だが不要な欲(豪華さ・過剰な快楽)
- 自然でない欲(地位・名声・他人評価)
1は満たしてよい。2は節度をもってほどほどにする。3は不要な欲望であり、手放すと心は軽くなる。
ストア派:前300年ごろのアテナイ。ゼノン、ポセイドニオス、ローマ期にはセネカ、エピクテトス、マルクスアウレリウスなど。
ストア派は「自分でコントロール可能か?」で線引きをした。名声・他人の反応は自分ではコントロールできない不可領域であり、天気や災害も同じである。一方、知恵・節制・勇気・正義といったことは自らコントロールできるもの。これらに集中することを説いた。
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クリエイターのための生産性向上システム
システムと言うほどではないですが、今回は、動画制作、執筆、Webサイトデザインなどのクリエイティブワークを行う際に生産性向上のために実践していることを書きます。ややエクストリームな部分もありますので、実践する場合は直接真似せずに、ご自身の仕事や生活、そしてクリエイティブワークに置き換えて、取り入れられそうなところを参考にしてみてください。
ルーティンと構造化
何かモノを作っている人ならわかると思うのですが、インスピレーションとモチベーションはいつも気まぐれです。何もアイデアが浮かばずに、机の前に座っていたら日が暮れていたということはありませんか?1日は滅多にないですが、私も1時間ほど何もしないまま、椅子に座っていたことが過去にはありました。
そういう場合に必要なのが、ルーティンと構造化になります。生活にルーティンと構造を与えることによって、インスピレーションとモチベーションは自動的に出てくるようになるのです。ルーティンが大事だと言われる所以は全てここにあります。
まず、カレンダーを用いて日次と週次でざっくりとしたスケジューリングを行います。大事なのは、仕事用のカレンダーとプライベート用のカレンダーを分けずに、仕事と生活を全てひとつのカレンダーで行うことです。こうすることにより、自分が生み出すもの=成果物と、それを生み出す土台になるもの=生活の相互関係が可視化されるようになり、両者がスムースに進むようになります。どうしても仕事とプライベートのカレンダーを会社の都合などで分けられない場合は、カレンダー共有機能を使い、形だけでも全ての予定が一覧できる状態をつくるという方法があります。
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長く使っているもの
先日、「壊れるまで使う」という動画を作りました。明け方走っていて、ふとその言葉が出てきたのです。壊れるまで使うことは、捨てることをできるだけ先延ばしにすること。壊れかけのものを捨てずに取っておくと、どんどんモノが溜まり、処分のタイミングを逃し、ゴミ屋敷と化してしまいます。だから、モノを減らすという観点では、潔く捨てるほうが大事です。半端なものや、使用頻度が低いもの、壊れかけのものはすぐに処分する。それがミニマリズムの原則です。
つまり、モノの分量が圧倒的に多い人が、「壊れるまで使う」ことを意識しすぎると、逆に減らせなくなって危険でもあるということです。
ある程度までモノの分量を減らしている人には、「壊れるまで使う」ことが効いてきます。出費が減る、買い物の時間が減る、モノを選ぶ時間がなくなる、ゴミ出しが不要、環境にもやさしい。長く使う過程で、モノを再評価することにもなり、それが満足感や充足感につながります。「もう既に、持っている」と自覚することは、もうこの先、何も買わなくていいことを教えてくれます。それに気づいた時、不思議と安心感のようなものが押し寄せてくるでしょう。
モノを買うという行為には、多くのプロセスが含まれます。広告が出てきて、瞬時にポチる人はおそらく少数派です。広告や購買を促進する情報はトリガーにすぎず、それを見た後に、あれこれ悩んだり、比較したりし始めるのです。そしてなるべく最安値で手に入れようとか、メルカリで状態が良いものが出ていないか確認したりします。商品が決まった後も、然るべき手続きのもとログインして、注文して、届くのを待つ。一人暮らしの人は、受け取る時間を調整して、運送業者に再配達をかけたりして、受け取れなくて、また再配達をかけたりして。ようやく新たな製品が届いたと思ったら、箱から出して、うわーやっぱりいいなと感動しながら、新しく手に入れたものの使い方や方法を模索しはじめます。そしてそれが手に馴染んで、無意識に扱えるようになるには、モノにもよりますがある程度の時間を要します。同ジャンルの新製品、例えばスマホを買い換える時の面倒さは、ここで説明するまでもないくらい、誰もが身に覚えのあることではないでしょうか。
買わなければ、このようなことを一切無しにできるのです。
